「友情・努力・勝利」ではない?集英社が「ふんわりジャンプ」をスタート
集英社は6月23日、無料のウェブ漫画サイト「ふんわりジャンプ」を公開した。『ふんわりジャンプ』は日常のテーマ(グルメ、ペット、旅、育児など)の「あるあるネタ」を満載した、等身大の"ゆるふわマンガ”が数多く掲載されているコミックサイトだ。連載陣には、『ストップ!!ひばりくん!』の江口寿史氏や、『孤独のグルメ』の久住昌之氏、twitterで育児マンガを公開している吉本ユータヌキ氏やヤマモト喜怒氏など、プロ・アマ問わず、SNSで人気の漫画家が並ぶ。『友情・努力・勝利』という『ジャンプマンガ』のイメージからはやや離れたこのコミックサイトは、どのように生まれ、何を目指しているのか。集英社に聞いた。
背景は「プロとアマの区別がなくなってきている」こと
「SNSの進歩にともない、商業ベースでない個人発信のマンガへの支持が急速に高まってきました。プロの編集者の目から見てもレベルが高い、こういった作品を結集したレーベルを作れないかと考えたのがきっかけです」。こう語るのは、集英社第4編集部企画室室長の清宮徹氏。 SNSは単に日常を発信するだけでなく、漫画や音楽などを製作する個人にとっては作品の「発表媒体」になる。こうした環境の変化により登場した、優れた「個人発信マンガ」を結集しようという思いが、「ふんわりジャンプ」の原点にはあるようだ。 「SNSの進歩により個人が発表媒体を持ったことで、プロ、アマチュアの区別がなくなってきています。ネットの読者にとっても、プロ・アマチュアはボーダーレスです。プロ・アマチュアに関係なく、同じ土俵の上で、優れた"ゆるふわマンガ"を展開したいと考えました」
ターゲットは日常の「共感」を求めている読者
ふんわりジャンプのサイトを見ると、直木賞作家・石田衣良氏が一般女性のお悩みに答える『石田衣良のスナック恋愛相談勝負』や、「ラクガキング」の通称で知られる実力派イラストレーター、寺田克也氏の『東京空腹画(トーキョーハラヘリーガ)』など、バラエティ豊かな連載が並ぶ。「ふんわりジャンプ」が狙う読者層はどこにあるのか。 「20代から40代まで、男女問わず、普段からSNSなどに親しんでいて、ドラマチックなマンガより、"共感マンガ"を求めている読者がターゲットです(同・清宮氏)」