「防災道の駅」選定3年 備え着々 福岡・うきは「トイレが大事」
国土交通省が大規模災害時の広域的な活動拠点として全国39カ所の道の駅を「防災道の駅」に選定して6月で3年がたった。各駅がハード整備などで国から重点的な支援が受けられるのは最長5年間で、残すはあと2年。福岡県内で唯一選定されたうきは市浮羽町の「道の駅うきは」を訪れると、着々と「備え」が進んでいた。【吉田航太】 【写真】「防災道の駅」選定3年 福岡唯一の「うきは」も備え進む 「フルーツの里」としても知られる道の駅うきはは、1年を通じて季節ごとの新鮮なフルーツが並び、地元で取れた野菜や加工品などの品数も豊富で、週末になると多くの買い物客でにぎわう人気のスポットだ。 防災道の駅は、災害時に自衛隊や警察等の救援活動や普及活動の拠点、緊急物資の集配拠点としての役割を担う道の駅を国交省が2021年6月に選定。道の駅うきはには元々、広い駐車場や非常用発電施設などがあり、17年の九州北部豪雨の際、被災地で活動するボランティアの宿営地として2カ月間活用された実績もあり、選ばれた。 駐車場の脇には11本のトイレ用のマンホールを整備。ふたをはずして便座やテントを設置すればそこはマンホールトイレへと早変わりする。災害時に施設が被災し、仮設トイレの手配に時間がかかる場合でもマンホールトイレはすぐに利用できるメリットがある。 「やはりトイレが一番大事」。自身も12年の豪雨で自宅が土砂にのまれ全壊した小河孝幸駅長(66)の言葉には重みがある。 1月に発生した能登半島地震では、敷地内にあった「防災用コンテナ型トイレ」を地震10日後に石川県穴水町の「道の駅あなみず」へ移送し、設置。浄化処理システムを備えており、使う時に給水すれば、太陽光発電やバッテリーを電源に全自己処理型トイレとして使用することができ、急務であるトイレ整備の一助となった。 道の駅うきはでは、防災拠点としての整備が続いている。第3駐車場まである広い敷地内で、一時避難の際にテントになる「防災パーゴラ」や、炊き出しのかまどにもなるベンチ、備蓄倉庫など「備える」工事が進む。 年1回の防災訓練も重ねており、スタッフ一人一人が有事に備える。小河駅長は「訓練は訓練で終わった方がいい。災害が多発する昨今、どこに備えがあるかをそれぞれが知っていることが大事だ」と話した。