浅田真央は「言い出したら聞かないから(苦笑)」MAO RINKオープニングセレモニーで見せた“晴れやかな表情”の意味「すごい楽しみな気持ちに…」
手書きの資料を持参して…浅田の熱意が周囲を動かした
浅田と村山社長が会い、浅田がリンクの建設について要望したのは2021年3月のこと。 「仕事で出会った方にご紹介いただきました」(浅田) ただ、村山社長は最初に話があったときをこう振り返る。 「『会わない』と返しました」 それでも、「何度か話があったので、『分かりました』と」。 実は村山社長のもとには以前、別のところからもリンク建設の話があり、「やんわりと」断っていたという。それもあったのだろう。「(浅田の打診が)なんの話かは分かっていたので」「会わない」という返事をした。 それでも面会にこぎつけた。かけがえのない時間に、浅田はA3の紙2枚に鉛筆書きでびっしり書き込んだ資料を持参し、懸命に思いを伝えた。 「立川にアイスリンクがあってもいいな、立川にとっていい話だと思いました」(村山社長) 長年にわたり抱いていた夢。浅田の熱が心を動かし、長年の夢だからこそのこだわりが形になったのであった。
浅田が語った“指導者としてのビジョン”
2021年、長年多くのスケーターらの練習場所となってきた高田馬場のスケートリンク「シチズンプラザ」が閉鎖されたとき、大学スケート部など多方面に打撃を与えた。現在、1年中スケートができる通年リンクはごくわずか。スケートのできる環境という点でも新たなリンクの誕生は大きな意義を持つ。 むろん、それだけにとどまらない。 「MAO RINKから自分のアイスショーをしたいなと思っています。ショースケーターを終えたとき、指導者として力を入れていきたいと思っています」 と浅田は語る。 リンクは浅田にとっての第3章のスタート地点でもある。新たなスタートを切る場所であり、未来のスケーターにとってのスタート地点ともなる。
名スケーター、他競技のアスリートからも祝福
「MAO RINK」の入り口をくぐると、多方面からの膨大な祝花が目に飛び込んできた。 数々のスケーターの名前が並ぶ。佐藤信夫・佐藤久美子、佐藤有香、小林れい子、荒川静香、高橋大輔、村元哉中、宮原知子、紀平梨花、坂本花織、宇野昌磨、本田真凜、島田高志郎、佐藤駿、三浦璃来・木原龍一、三原舞依、上薗恋奈、オレンジチアーズ(無良崇人、川原星、橋本誠也)……。さらには石川佳純、錦織圭といった他競技のアスリートの名前も見られた。 オープニングセレモニーに先立ち、メインリンクを初滑りしたあと、浅田はこう話している。 「今、すごいきれいな氷にスケートの軌跡が描かれていると思うんですけど、たぶんいろんな人が来て、いろんな思い出とかがここに刻まれるのかと思うとすごい楽しみな気持ちになりました」 多くの祝福は、その言葉に呼応しているかのようだった。 (撮影=松本輝一)
(「オリンピックへの道」松原孝臣 = 文)
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