「それは自分が一番分かっている」周囲を驚かせたワガママ兄の本音<実録マンガの舞台裏>
現役ケアマネジャーによる人気漫画
介護職13年の現役ケアマネジャーへもが、周囲で起こるドタバタな日常をマンガにした『へもでもできるもん』。またも入院してしまった森野犬太郎さん(89歳)のもとに遠方から駆けつけた弟・猿次郎さん。疲弊した猿次郎さんは、「もう面倒は見きれない。老人ホームに入ってほしい」と、心のうちをもらします。犬太郎さんがそれをすんなり聞き入れるはずもないと、ドキドキしながら退院カンファレンスにのぞむへもでしたが……!? この時の様子を、作者のへもに聞きました。 【マンガ】本編を読む ワガママ犬太郎さんがいよいよ退院!兄の本音とへもが見せたケアマネ魂
【介護の現場では――】
カンファレンスでは犬太郎さんの入院中の様子が詳細に報告され、退院後の方向性が話し合われていきました。猿次郎さんのみならず病院スタッフからも「一人暮らしは難しい」という意見が出されます。それを聞いた犬太郎さんは、「それは俺が一番分かっている。これ以上周りに迷惑をかけられない」と語るのでした。いつになく素直な犬太郎さんに「え!?」と驚く一同。このまま無事に収まるのでしょうか!?
――カンファレンスでは、病院スタッフからどれくらい細部まで報告があるのでしょうか
物語では「排泄にはズボンの上げ下げの介助が必要」という詳細まで報告するところを描いていますが、通常は、ケアマネから病院スタッフに「どのくらい暮らしに影響があるレベルなのか」といった細かい点を必要に応じてたずねていきます。一人でトイレに行けないなど、家族に負担になるポイントを明らかにして、在宅でのサービスの計画基盤を作ります。
――今回の犬太郎さんのように、自ら「老人ホームに入るべきなのかも」と考える人はいるものでしょうか
そうすべきかも、と察する人はいます。入院中は食事の上げ下げなどもしてくれて至れり尽くせり。「退院して一人暮らしに戻ったとき、自分一人でそれができるだろうか」とご自身で心配になることもあるようです。
――以前へもさんから「老人ホームが終の住処になることが多い」というお話を聞きました。その場合、それまで住んでいた家はどうなるのでしょうか
そのあたりはご家族にお任せしていますが、担当していた方の家の前を通り過ぎたときに、そのまま残っているのを目にすることはよくあります。空き家はこうやって増えていくのだなと、考えさせられます。 『へもでもできるもん』は、「なかまぁる」(朝日新聞社)のウェブサイトで連載中。