夏の甲子園で見つけた逸材! 鳴門渦潮のエースで4番・岡田力樹のスイングに見たバットマンとしての将来性
中村の速球を弾き返した強烈なゴロがショートに飛んだ。早稲田実業の遊撃手・宇野が捕球するも、打球に押されたのか、スローイングに定評がある宇野の一塁送球が珍しくショートバウンドになった。 「こりゃ、バッターだろう」 バットマンとしての将来性がキラキラと輝いて見えた。 3打席目は、地面スレスレのスライダーを絶妙なバットコントロールでセンターに抜ける打球。炎天下のグラウンドですでに100球以上を投げている体で、一塁駆け抜けのタイムが3秒98のタフネスぶり。投手としても9回を完投し、185球を投げ抜いた。 野手としてのプレーは見られなかったが、早稲田実業の3番・高崎亘弘の強烈なピッチャー返しを、顔をそむけずにキャッチしたプレーは、反射神経のよさもさることながら、投げたボールをインパクトまで見届けて、そのあとは"9人目の野手"になる。そうした意識をしっかり持ち合わせているように思えた。 試合には敗れたが、これだけの過酷な状況で見事なパフォーマンスを見せた岡田。だが試合後の岡田の表情には、ヘトヘト感がまるでなかった。むしろ憧れの舞台で、完全燃焼した者の清々しさが伝わってきた。 きっとこの秋からは「バットマン・岡田力樹」の野球人生が始まるんだろうなぁ......と、勝手に想像してしまっていた。 「高校野球2024年夏の甲子園」特設ページはこちら>>
安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko