箱根駅伝の区間エントリーで”戦略的補欠”となった駒大の大型新人、田澤廉はニューヒーローになれるのか?
佐藤悠基は佐久長聖高時代にインターハイ5000mで日本人最高の13分45秒23、1万mで28分07秒39の高校記録を樹立して東海大に入学。1年時(2005年度)は関東インカレの1部5000mで4位(日本人2位/13分49秒44)に入ると、5月に5000mで13分31秒のU20日本記録を樹立。7月の日本インカレ1万mは28分48秒74で1年生Vに輝いた。 出雲駅伝は2区で区間賞を獲得(全日本大学駅伝にはチームが出場していない)。一度も20km以上のレースを走ることなく箱根駅伝は3区に出場。11位から7人抜きを演じて、1時間2分12秒の区間新記録(現在は区間歴代5位)を打ち立てた。なお区間2位の選手に1分31秒もの大差をつけている。 大迫傑は佐久長聖高の3年時に全国高校駅伝1区で区間賞を獲得して早大に入学。1年時(2010年度)は4月に5000mで13分47秒29をマークすると、関東インカレの1部1万mで28分35秒75の4位(日本人3位)に食い込んだ。出雲駅伝は2区でトップを守り、区間3位。全日本大学駅伝は2区(区間3位)で9位から2位まで順位を押し上げている。そして2週間後の上尾ハーフで1時間1分47秒のU20日本記録を樹立した。箱根駅伝は1区に登場。序盤で集団を抜け出すと、1時間2分22秒(当時区間歴代6位)の好タイムで独走した。区間2位を54秒引き離して、総合優勝の立役者になった。 村山謙太は5000mで13分49秒45(高校歴代9位)、1万mで28分23秒18(高校歴代3位)の好タイムを引っ提げて駒大に入学した。1年時(2011年度)は6月に5000mで13分47秒19、10月に1万mで28分17秒57と自己ベストを更新。9月の日本インカレでは5000mで大迫らを抑えて、13分54秒00で1年生Vを果たしている。出雲駅伝は1区で区間13位に終わったが、全日本大学駅伝は2区で区間3位。3位からトップを奪い、チームの優勝に貢献した。箱根駅伝は花の2区に抜擢されるも、1時間9分04秒の区間9位。3位から5位に順位を落としている。 田澤を佐藤、大迫、村山と比較すると、前半戦の実績は少し劣るかなという印象だ。しかし、「高校時代と比べて、練習の量も質もめっちゃ上がったんですけど、順調に来ています。特に3週間の夏合宿をしっかりこなせたことが自信になりましたし、力がついたのかなと思います」と田澤が話している通り、秋以降の結果は充実している。 村山も指導した駒大・大八木弘明監督に村山と田澤の違いを尋ねてみると、「村山は本当にセンスがあったけど、メンタル的には田澤の方が強いかな」と話す。振り返ると村山のポテンシャルは素晴らしかったが、大学時代は走りにムラがあった。その点、田澤は一度もレースで失敗していない。 さらに「田澤はスタミナも結構あります。将来的にはマラソンをやっても面白いと思いますよ」と大八木監督はスーパールーキーを評価していた。なお大八木監督は「2、3、4区のどこかで起用したいと考えています」と、田澤の区間配置について言及しているが、29日の最初の区間エントリーでは戦略的に補欠登録とされた。田澤は何区で箱根デビューするのか。