『ステージ4の子宮体がん』闘病体験をYouTubeで発信する理由「検診を受けないのは時間がもったいない」
「自分は大丈夫」と思い込んでいた。手術までの辛い日々
編集部: 診断を受けた時、どのようなお気持ちでしたか? ヒダノさん: 自分はがんのような大きな病気をするとは思っていなかったです。「自分は大丈夫」と思い込んでしまったばっかりに、ショックが大きかったですね。 編集部: では、診断を受けてからどのように治療を進めていくと言われましたか? ヒダノさん: いろいろあり手術は一カ月後になりました。その一カ月はとても辛かったですが、病気が急激に進行することはなく、普段通り仕事もしていましたね。 編集部: お仕事に戻られたのですね。特に体調は問題なかったのでしょうか? ヒダノさん: そうですね、告知前とそこまで体調は変わりありませんでした。一方で、やっぱり気持ちの面は落ちていたので、裏方の仕事をさせてもらっていました。手術を待っている間の一カ月間が辛く、嘔吐や蕁麻疹などもあって明らかにストレスを感じていましたね。あえて仕事に行って紛らわせていました。 編集部: 確かに、病気と分かっていながら治療に着手できないのは辛かったと思います。では、それからどのように手術を迎えましたか? ヒダノさん: まず、手術の際に大量出血が起こる可能性もあるので、それに備えて自己血採血というものを週に1回、それを3週分行いました。それから、がんの場所をより明確にするためにPET検査、CT検査、MRI検査をして、手術の方法を先生と相談しました。背中には注射・点滴をしましたし、肺と心臓の検査もして当日の手術を迎えました。 編集部: すごいいろんな準備をされたのですね。 ヒダノさん: 準備の大変さよりもメンタル面が辛かったので、乗り越えられた気がします。注射が大の苦手なので、自己血採血をするときに主治医に一緒にいてもらっていました(笑)
術後の抗がん剤治療…乗り越えられたのは周囲の人々に支えられたから
編集部: 手術後はいかがでしたでしょうか? ヒダノさん: 手術後一番辛かったのが「水分禁止」で、1日だけではありましたが水分を摂ってはいけない期間がありました。もちろん喉は乾くので、水分を含んだガーゼを含むという初めての経験をしました。術後2日目に水をやっと飲めたときは感動しましたね。また、手術後は身体に管だらけで、うがいもしたいし鼻水も出るのですが、動けなくて辛かったですね。 編集部: 「管だらけ」というのは? ヒダノさん: 背中には痛み止めの点滴、排尿のための管、鼻には酸素マスク、腹部左右にはドレーン、足には血栓予防の管がついていました。もちろん、術後経過につれてだんだん管の数は減っていきましたが、お腹が痛かったです。動こうとしても動けないものの、腸閉塞予防のために動きましょうと言われて頑張っていたら、だんだん動けるようにもなりましたね。 編集部: 大変でしたね…退院後は抗がん剤で治療されたと思いますが、副作用などありましたか? ヒダノさん: 私の場合はTC療法を6サイクルしました(3週間に1回、うまくいけば半年で終わるくらいのペース)。1サイクルの中で変化が大きく、初日は吐き気止めの影響で吐き気はありませんが、薬をアルコールに溶かして投与するので、顔が赤くなります。それから次第に吐き気が出て、投与から4日目が吐き気・むかむかのピークに。5日目は便秘になり、腸閉塞が頭をよぎって怖くて酸化マグネシウムを飲んで対応します。7日目になると体調が回復して、便秘も解消される。このような流れを、6サイクルしました。ほかには、そこまで強くないものの味覚障害やしびれ、脱毛が徐々にありました。卵豆腐が苦いと感じたときはびっくりしましたね。 編集部: 今の体調はいかがでしょうか? ヒダノさん: 今は卵巣を摘出した影響で骨密度が80歳超え、骨粗鬆症になっています。ですが、今のところ骨折もなく、そのほかの体調も問題なく生活できています。 編集部: 辛い時期だったと思いますが、闘病中の心の支えは何でしたか? ヒダノさん: 当時はコロナ禍ではなかったのでいろんな人がお見舞いに来てくれました。少しでも病気のことを考える時間が減って本当に心の支えになりました。あとはSNSで出会ったがん患者さんたちとの情報交換だったり、オフ会での交流だったりでいろんな人から笑顔をもらっていました。わたしはずっと周囲の人に救われていましたね。 編集部: ヒダノさんはYouTubeで発信もされていますが、病気のことを動画で配信する理由は何なのでしょうか? ヒダノさん: そもそも「がんになりました」と顔を出して公表はあまりしないということを知らなくて、やってしまったというほうが近いですね。私の経験が役に立つのであればそれでいいと思い、ずっと発信を続けています。YouTubeでは毎週ライブ配信をしていますが、視聴者さんからコメントがよく来ます。「不安に思っている時間も結果は変わらないから、なるべくそれを考えない時間を増やすと心が落ち着きますよ」「周囲に頼ってくださいね」とよく伝えています。 編集部: この記事を読んでいる方へ、メッセージをお願いします。 ヒダノさん: 不正出血や、もしかしてがんかも? と思ったら、怖がらず早めにお医者さんに行って検診してください。仮にがんだった時に治療にかかる時間を考えると、早く見つかればもっと仕事もできますし、子ども・家族・自分のための時間も作ることができます。私のように進行してからの治療はお金も時間もかかるので、定期検診を受けて心と時間とお金の余裕を作ってください。そして告知を受けたばかりの方は、不安と恐怖でいっぱいと思います。でも、ステージ4のがんになった私が今こうして笑顔でいれるということを頭の片隅にいれて治療を続けてください。自分の時間を大事にしてください。人生は有限なので、後悔しない人生を生きていきましょう! 応援しています。