山ちゃん創業者急死 カリスマの遺志継ぐ妻、社長と名乗らず 改革で最高益
■責任を明確化
久美さんが代表に就いた時、業績は好調で、事業方針を大きく変える必要はなかった。一方で持続的な成長には、重雄さんのカリスマ性に頼った経営方式を変える必要があった。 そこで 稟議書を新たに取り入れ、重雄さんに任せきりだった経営の意思決定に、複数の幹部らが携わる体制を整えた。一人の社員がいくつも兼務していた営業や経理、総務といった業務を全て縦割りにして、責任の所在を明確化した。 個性豊かな山ちゃんの店づくりも、久美さんが従業員に呼びかけた。店や地区ごとに自分たちで考えた企画を打ち出し、反響が寄せられるなかで、従業員も「重雄さんがいなくても、やっていけるんだ」と自信を深めていったという。 改革が奏功して会社は成長を続け、19年8月期には過去最高の売上高、利益を上げた。久美さんは「従業員をバラバラにせず、まとめることができた」と 安堵した。新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われたのは、その翌年のことだった。