【DeNA】大田泰示の誇り「ケガしてもいいぐらいの気持ちで」全力プレー貫いた16年間 引退会見
DeNAを戦力外となり、今季限りでの現役引退を決めた大田泰示外野手(34)が18日、横浜市内の球団事務所で引退会見を行った。東海大相模(神奈川)から、08年ドラフト1位で巨人に入団。松井秀喜氏の背番号「55」を受け継いだ重圧を明かすとともに、所属した日本ハム、DeNAへの感謝の思いを語った。プロ生活16年、世間の期待を背負いながら全力プレーを貫いた男が、現役生活にピリオドを打った。 ◇ ◇ ◇ 大田は16年間のプロ生活をすがすがしい笑顔で締めくくった。ヒゲをそり、黒髪にスーツ姿で登場。「まだまだ野球をやりたい気持ちはありますけど、プロ野球選手をやれる環境がなければプレーすることはできない。しっかり受け止めて、また違う新たなステージに向かっていくことを決断しました。悔いや後悔はありません」と言い切った。 必死で重圧にあらがった16年だった。東海大相模から競合の末にドラフト1位の鳴り物入りで巨人に入団。レジェンド松井秀喜氏がメジャー移籍後、空き番号になっていた「55」を継承した。「当時は高校卒業して、人生の経験が浅かった。期待に応えよう、よく見せようとしすぎた。背番号に見合った活躍ができない中、応援してくれるファンの方もいましたし、叱咤(しった)激励もいただいた。人間的にも、メンタル的にも、鍛えられました」と強くなった。 08年ドラフトの目玉ながら、同学年の背中を追い続けた。西武浅村(現楽天)、日本ハム中島、杉谷、楽天中川、ヤクルト小川、DeNA三嶋、戸柱…。1人ずつ名前を挙げながら「ドラフト1位で入って、思うような成績を残せなかった時期はつらかった。長年にわたって1軍で活躍してきたわけでもないし、なんなら下積みの方が全然長かった」と振り返った。 それでも、持ち前の気迫あふれるプレーでプロの世界に食らいついた。誇れることがあるとすれば、全力プレーを貫いたこと。「ケガしてもいいや、ぐらいの気持ちでやってた。そうじゃないと、はい上がれなかった。その気持ちでずっとここまで突っ走ってきたつもりなので、そこは誇れるところかなと思います」と胸を張った。今後は「野球界に還元できるような活動をしていければ」。苦悩も喜びも味わったプロ野球人生。大田泰示が熱く、全力で駆け抜けた。 ◆大田泰示(おおた・たいし)1990年(平2)6月9日生まれ、広島県福山市出身。東海大相模では甲子園出場なしも、高校通算65本塁打。08年ドラフト1位で巨人入団。09~13年は松井秀喜氏の背番号55を継承。14年9月27日DeNA戦で巨人史上81代目4番打者を務めた。16年オフ、吉川光夫、石川慎吾との2対2トレードで公文克彦とともに日本ハム移籍。20年ゴールデングラブ賞。21年オフに自由契約になり、DeNA移籍。188センチ、96キロ。右投げ右打ち。