「花嫁はどこへ？」

2001年、インドのとある村。同じベールで顔が隠れた2人の花嫁（プールとジャヤ）がそれぞれの花婿の家へ向かう満員列車を降りる際、プールの夫が勘違いをしてジャヤを連れ帰ってしまう。

置き去りにされたプールは内気で従順だが、何事も家族頼りで花婿の住所も電話番号も分からない。聡明で意志の強いジャヤはなぜか夫と自分の名前を偽り、何か隠し事をしている様子。果たして2人の花嫁の運命は…。

慣習に従い、決められた結婚相手の元に嫁ぐ正反対の女性2人の姿を通して、インド社会や人情を映し出している秀作だ。監督はキラン・ラオ。印映画。

4日から全国順次公開。2時間4分。（啓）

「本を綴る」

多くの映画、ドラマでバイプレーヤーとして活躍する矢柴俊博の初主演映画。書店の減少に危機感を抱く東京都書店商業組合のYouTubeチャンネルから派生した作品。

書けなくなった作家、一ノ関哲弘（矢柴）が各地の個性的な書店を訪ね、出会いや再会を重ね、筆を折った原因と向き合う姿を描くヒューマンドラマ。

全国に実在するユニークな書店が登場。本好きにはそれだけでも興味深い。

長谷川朝晴、宮本真希、遠藤久美子ら共演陣もいい味を出している。とりわけエンクミは大人の女性の魅力を発揮して作品に潤いをもたらす。情緒的な場面が若干、冗長な印象か。

5日から全国順次公開。1時間47分。（健）