子どもから「将来YouTuberになりたい」と言われたらどう答えるのが正解か? 知っておきたい「ロングテールの仕事」と「ベルカーブの仕事」の違い
「夢を追う」ということ
もうひとつ重要なのは、「はたらける期間」です。スポーツ選手はロングテールの仕事ですが、肉体的な制約から、(三浦知良選手のような例外もありますが)プロサッカー選手が活躍できるのはせいぜい20年で、これは他の競技でもだいたい同じでしょう。それに対して医師や弁護士などのベルカーブの仕事は、(105歳まで現役医師だった日野原重明さんのように)健康ならいつまでも続けることができます。 たとえ毎年の収入が少なくても、はたらける期間が長ければ、生涯の収入は多くなります。「お金持ちになる」とは、生涯の収入が最大になるように人生を設計することです。 もちろん、ロングテールの仕事とベルカーブの仕事は、トレードオフ(どちらかを選んだら、もうひとつをあきらめなくてはならない)というわけではありません。ロングテールの仕事でうまくいかなくても、ベルカーブの仕事で生きていくとか、ベルカーブの仕事をしながら、ロングテールの仕事で成功するチャンスを探すということもできるでしょう。 これが、YouTuberになりたい(ロングテールの仕事に憧れる)子どもも勉強したほうがいい理由です。 ただし、「ミュージシャンを目指す」「ゲーマーになりたい」など、時間資源の有限性から、勉強とのトレードオフが生じることもあるでしょう。 子どもがこころの底から「やりたい!」と思っていることを、親が否定すると、あまりよい結果にはならないでしょう。それにいまは、「なにをしたらいいかわからない」という若者がたくさんいます。 だとしたら、それがどんなことであれ、「やりたいこと」が決まっているほうがずっといいかもしれません。 あと、他人事ごととしていうなら、たくさんの挑戦者がロングテールに挑むからこそ、わたしたちを楽しませたり、驚かせたりしてくれるスターが誕生します。数少ない成功者は、膨大な数の失敗者のなかからしか生まれないのです。それに、成功する確率だってゼロではないのですから。