水筒を背中でキープ、転倒けが防止 母の知恵、安全ベルト開発 福島
子どもの安全グッズ開発を手がけるマザーソリューション(福島県福島市)は、子どもが水筒を斜めがけしたまま転んだ場合に水筒が腹部に当たり、内臓を損傷してしまう事故を防ぐための新商品「背中でキープベルト」を開発し、注目を集めている。水筒を持ち歩く時の転倒事故については全国で手術を要する事例も報告されており、消費者庁が注意を呼びかけている。 「背中でキープベルト」は全長約20センチのベルトにボタンや滑り止めを付けたもの。このベルトを、水筒の斜めがけ用ベルトに取り付けて背中に固定することで、歩いたり、走ったりするうちに水筒が体の前にくるのを防げる。ランドセルを背負った状態でも側面より体の前にいかないよう位置が調整できる。価格は680円(送料込み)からで、7月に販売を始めた後、インターネットの口コミなどで人気を集めているという。
内臓損傷リスク
消費者庁によると、子どもが転倒時に首や肩にかけていた水筒がおなかに当たり、内臓を損傷する事故は全国で確認されている。中には、小腸破裂や腹膜炎を引き起こして手術をしたり、内臓損傷によって膵臓(すいぞう)や脾臓(ひぞう)を摘出したりしたケースもあったという。 子どもは腹部臓器の占める割合が大きく、おなか周りの筋肉が弱いなどの理由から、腹部に外から力が加わった場合に内臓損傷が起こりやすいとされているとして、消費者庁は昨年8月に注意を促す通知を配信している。
同社の斎藤祐子社長(43)はこうした危険性を知り「斜めがけをやめろと言われても水筒を持たせないわけにはいかない。安全に水筒を持たせるにはどうしたらいいか」と商品開発に乗り出したという。 従業員がアイデアを寄せ合い、これまで40種類以上の商品を開発したノウハウを生かして完成させた。従業員の約8割が子育て中の母親という同社。斎藤社長は「商品の存在を知って、商品に似せた一工夫を各家庭で施すだけでも、子どもを危険から遠ざけられることを知ってほしい」と訴えている。
福島民友新聞