時速36km vs reGretGirl バッチバチに向かい合った『FREAKY & GROOVY vol.4』【ライブレポート】
ツーマンイベント『FREAKY & GROOVY』のvol.4が6月19日に新代田FEVERにて開催された。これまで、Wiennersとthe telephones、ネクライトーキーとサバシスター、koboreとthe dadadadysという魅力的な組み合わせで行われてきたが、今回は失恋や想いを伝えることにフォーカスした楽曲を発表し続け共感を呼ぶreGretGirl、日常で起こった感情の起伏を骨太なオルタナティブロックで炸裂させる時速36kmが激突。初対バンながらも互いを認め合うだけあって、バンドとしての矜持を見せつけながら熱いパフォーマンスを繰り広げてくれた。 【全ての写真】時速36kmとreGretGirlが出演したツーマンイベント『FREAKY & GROOVY vol.4』(全11枚) 先行となった時速36kmは仲川慎之介(vo/g)の鮮烈な歌い出しから始まる「七月七日通り」で強烈な口火を切る。強靭な音塊が飛び出し、オギノテツ(b/throat)もベースも唸りを上げるが、石井開(g/cho)が奏でるフレーズのきらびやかさが絶妙で、決してモノトーンなサウンド感にならないのが彼らの特徴。思わず口ずさみたくなるコーラスワークもあり、初めて彼らを観るというオーディエンスもいたであろうが、グッと序盤から惹きつけていく。 簡単な挨拶を挟み、仲川が会場を揺るがすような咆哮を見せて始まった「動物的な暮らし」では「しっかりと我々のライブを見せつけて、reGretGirlにプレッシャーを与えていきたいと思います」というオギノの力強い宣言もあり、巧みなサウンドプロダクションを披露しながら、ラストは仲川が獣のように歌い叫ぶインパクト大な展開。興奮したオーディエンスの鼓動が反映されたようなビートを誇る「アトム」で会場を包み込むシンガロングが起こるのも当然の流れだったはず。 いい熱気が漂う中、「reGretGirlとは初めての対バンで、あんまり近いところにはいない同士だと思うんです。でも、根底にあるモノはそんなに違いがないんだなというのがわかりまして。オレらと彼らは自分を救う為にやっているところがあって」と仲川がこのライブへの気持ちを改めて語り、新たな出会いの機会になれば、と付け加えるのもとても印象的だった。 そして、柔和なサウンドにつぶやくような歌声を乗せた「ラブソング」を披露し、オギノがイントロのベースラインでいい繋ぎを見せた「ウルトラマリン」へ。ドラマティックな抑揚、グッと踏み込むタイミングでの松本ヒデアキ(ds/cho)のキレッキレのドラミングが秀逸。日常における小さな幸せを抱きしめる「花束」では想いを重ねるようにフロアから自然と手拍子も起こっていく。ひと呼吸おいて、「ライブハウスの、対バンという形式の醍醐味みたいな日だと思うんで、どうっすかね?」と仲川と投げかけた瞬間に大きな拍手に包まれるほどいいムードが充満していた。 終盤戦は「時速(の出番)を後にしときゃ良かったと思わせるぐらい、ガンっとやります!」という言葉通りの疾走。難解なフレーズが絡み合いながら大きな塊となって放たれる「ブルー」で凄みを見せつけた後、彼らが注目を集めるキッカケにもなった「ハロー」と畳み掛け、締めくくりにはエネルギーを全放出する「銀河鉄道の夜明け」。イカれたフルスイングだがポイントは決して外さない。ライブを積み重ねてきたバンドだからこその重みもある。オーディエンスも思いっきり拳を突き上げ、彼らと真正面から向き合っていき、まさしく最高潮な瞬間が生まれていく。最後の音が止まる直前、仲川は小さく頷きながらギターをかき鳴らしていた。きっといい感触を手にしていたに違いない。