与謝野晶子も愛した料亭「金沢園」 ゲストハウスに
今年創業100周年を迎えた老舗料亭「金沢園」(横浜市金沢区)が7月、ゲストハウスとして生まれ変わる。風情あふれる2階建ての建物を活かし、8部屋の客室のほか、調理場を改装したレストランも併設する。
歌人の与謝野晶子も度々訪れ、歌にしたという金沢園。開園当初は、潮干狩りや海水浴、釣堀、遊覧船といった海のレジャーやスポーツも楽しめる遊園地・割烹旅館だった。埋め立てが進んだ現在は海には直接面していないが、桜の時期には広い庭を見ながら花見も楽しめ、入母屋造、浅瓦葺の建物は国の登録有形文化財に登録されている。
新しくゲストハウスを経営するのは、都内で外国人向けシェアハウスなどを運営するエー・アイ・ジェイ(東京都文京区)。横浜市の職員らの相談を受けた代表の喜多正顕さんが、同社の経験を生かして建物の一部を利用したゲストハウスの運営を提案した。
宿泊料金は一部屋8,000円(2人利用)からで、相部屋のドミトリー(3,800円)もある(価格は税別)。内装はできるだけ現状の雰囲気を残し、ふすまや障子もそのまま活用。風呂場にはステンドグラスや岩場もある。 200人規模の懐石料理を準備していた厨房は、オープンキッチンのレストランに改装。地元柴漁港や市内の有機栽培農家と提携し、新鮮な魚介類や野菜を使った料理や、横浜発祥の牛鍋、横浜のクラフトビールなどの提供を予定している。近隣住民も気軽に利用できるよう、昼はサンドイッチやパスタなどの軽食も用意する。 喜多さんは「横浜・八景島シーパラダイスや海の公園など、近隣の魅力的なコンテンツを生かしてインバウンド需要を取り込みたい。庭も活用して、バーベキューやディナーイベントも開催できれば」と意気込む。
オープンは7月を予定しており、現在同社では、改修・初期費用3,900万円のうち400万円をクラウドファンディングで募集している。支援のリターンは、地魚詰め合わせセット、ペア宿泊券・ディナー券、花火大会夕食付き観覧券など。 (齊藤真菜)