『厨房のありす』の門脇麦がかわいすぎる! 恋愛要素が入り真骨頂を見せた演技力
「倖生さんのことが好きです」 その時は、思っていたよりも早くやってきた。でも正直、その告白のシチュエーションは想定外だった。ありす(門脇麦)が倖生(永瀬廉)に思いを伝える時はもっと抱きつかんばかりの勢いでするような気がしていたからだ。伝えるかどうかを迷いながらも、涙と言葉が止まらないありすの姿は新鮮だったが、とても綺麗に見えた。恋が大きく進展した『厨房のありす』(日本テレビ系)で、天真爛漫でかわいいだけじゃない、ありすの別の一面を演じてみせた門脇麦。その演技力に思わず感嘆の声がもれていた。 【写真】倖生(永瀬廉)に詰め寄るありす(門脇麦) 「ありすのどんなところがかわいいと思う?」と聞けばいろいろな答えが返ってくると思うが、好きなことに関して話している時はとてもイキイキしていてかわいい。ありすは自閉スペクトラム症(ASD)の影響で、人との距離感が近すぎるかと思えば、目が合わせられなかったり、表情や空気が読めなかったりするため、コミュニケーションは苦手だが、自分がハマったものについてはとことん突き詰める性格だ。 化学にハマったありすは、食材の栄養素や調理工程を、化学式や化学変化で理解している。しかもそれを人に話すのも好きなようでひとたび料理の解説をし始めると止まらない。自分があまり理解できないことを、ひたすら喋り倒してくる人がいたら引いてしまい、ちょっと怖くなってしまうものだと思うが、ありすの場合はあまりにも楽しそうに喋っているものだから、ついずっと聞いていたくなってしまう。和紗(前田敦子)は慣れっこなので、ありすが喋るのをすぐ止めてしまうが、倖生は最後まで聞いていることが多い。ルンルンで喋っているありすをかわいいと思っていたのかもしれない。 そんなありすが乗り移っているかのように、ありすを演じている門脇も撮影中にはお茶目な部分を見せている。ありすはとにかく言葉数が多いが、それがすらすらとつっかえることなく出てくる。さすがの門脇もたまに噛んだり、詰まったりしてしまうことがあるようで、カメラに向かって照れ隠しのような愛らしい表情を見せているところがメイキングとして公開されている。 さらに、意外と「作戦」を計画、実行するのが好きなところもかわいい。「ありすのお勝手」の常連・明里(金澤美穂)の恋を成就させようと、片思いの相手・圭介(渡辺大知)を「モヤモヤさせよう作戦」を立てる。倖生が好きだと気がついてからは、相手の変化に気づく、相手に喜んでもらうことをする、さり気ないボディタッチのためにナノプシャン体操をするなど「ラブ イズ アクション作戦」を決行していた。しかし「モヤモヤ作戦」は倖生の「そんなうまくいくかな」という心配通り怪しまれるだけだったし、「ラブ イズ アクション作戦」は効果が薄く、和紗からも「全然伝わってないよ」と言われてしまっていた。それでも「作戦」中にウキウキしているありすはとても楽しそうだ。 こんなにも純真なありす役がぴったりはまっている門脇だが、第6話で彼女の演技の真骨頂がシリアスな場面にこそあることを示してみせた。恋をしたことや自分の本当の母のことを知ったことで、今まで自分が大切な人たちに守られてきたことを知ったありす。でもそれを意識したからこそ、自分のASDの特性が他人に迷惑をかけてしまうかもしれないこともよりはっきりと自覚したのではないだろうか。それでも倖生への思いは溢れてくる。その複雑な胸中を、門脇は涙と溢れ出てくる素直な言葉で表現していた。いつものぽわぽわとしたありすとは違う雰囲気、そして最後の、倖生へ本当に伝えたい一言は、コミュニケーションが苦手でも、涙でぐちゃぐちゃな顔でもしっかり倖生を見て言うところから、ありすの「好き」の気持ちが本物であることが痛いくらい伝わってきた。 恋愛は思いが通じ合っても難しいもの。ありすにはこれからも大変なことが待ち受けているかもしれない。それでも大切な人となった倖生を守れるようになることを、諦めないでほしい。
久保田ひかる