経験豊富なNZ代表が仲間たちへ伝えた簡潔にして本質的な言葉… 主将リーチも「勉強になった」と頷くリッチー・モウンガの考え【リーグワン】
参加者の証言を総合すると、かような内容だった。 <心に残る、プレッシャーのかかる舞台を楽しもう> <プレーオフでは、一つひとつの試合をラストゲームのつもりで戦おう> 簡潔で本質的。 モウンガに定食屋を紹介したキャプテンのリーチは、日本代表として4度のワールドカップに出た35歳。それでも年下のモウンガの考えに、「勉強になった」と頷いた。 「英語で言う『One chance One opportunity』ですね。その(重要な)機会が自分に来るかもしれないから、それをしっかり掴みましょうと。ひとつのパス、タックル、キックで勝負が決まるかもしれない。楽しみましょう、と」 翌日、トレーニングをメディアに公開した。汗を流して引き上げる折、モウンガその人は言い残す。 「非常にいい感覚です。本番が近づけば、いい種類の緊張感が高まると思います。ラグビー選手である以上、負けたら終わりのゲームは臨むところです。こういう舞台では、細かい一つひとつのアクションで勝負が決まる。ただ、ここで萎縮しすぎず、自由にラグビーを楽しむという自分の持ち味を出していければ」 母国の規定上、日本のチームに在籍する限りはオールブラックスことニュージーランド代表のジャージィは着られない。さりとて、職業倫理は損なわずにいる。以前このように明かしていた。 「いまは、自分がどれだけブレイブルーパスにいい影響を与えられるかを考えています。ラグビー選手としてベストに近づくために、もっともっと頑張りたいです。その結果、自分のことを世界でベストな選手だと思えるようになるのをゴールにしています。ラグビー選手としてはそういう野心がなくなったり、近道を探し始めたり、気が向かないなと思ったり、怠けてきたりしたと自分でわかったら、その時はスパイクを脱がなきゃいけない。ただ、いまは全くそんな風にはなっていませんよ」 自身にとって初めてとなる日本の「ファイナル」ことプレーオフ準決勝は、19日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれる。 取材・文●向風見也(ラグビーライター)