配球に工夫がない、「イップス説」も流れて…大城卓三捕手は弱点を克服できるか
正捕手の座を巡って
どの球団も、試合前にスコアラーが集めてきた情報を元に投手コーチやバッテリーコーチ、そして先発投手と捕手で「配球」を話し合う。相手メンバーで打撃好調な選手がヒットにした球種は何かなどの確認から入り、先発投手の球速、持ち球などから配球を決めていく。プロ同士の対決なので1巡目と2巡目に同じ配球は用いない……といった内容を確認するのだが、試合が始まると、スコアラーの解析に、捕手のその日の分析が加えられる。しかし、大城のリードには、その分析が見られないという。つまり、スコアラーの言った通りに配球するというのだ。 「彼の場合、性格の問題もあると思います。試合前のミーティングではスコアラーの報告を素直に聞いています。でも、経験豊富な捕手になると、翌日の先発投手がタテの変化球やフォークボールを得意としていたら、前日の試合で相手チームにその球種をあまり見せたくないので『今日はこの球種を使わないようにしたいのですが』と意見を言ったり、提案をしたりします。でも、大城が何か意見することはほとんどないそうです」(前出・同) 投手がマウンドに上がった後、「変化球が、いつもの曲がり方と違う」というケースもある。また、外角の変化球が苦手な打者の場合、苦手コースばかりを攻めれば、逆に相手はそこにヤマを張って来る。捕手は打者の動作、ボールの見送り方などからそれらを判断し、ウラをかくこともあれば、様子見の投球を挟んでウラのウラをかくこともする。 「例えば、小林はスタメン出場でなかったときも、試合中、味方バッテリーの配球を見て、『自分ならこういう配球もしますが、どう思いますか』と前任・原政権下の歴代投手コーチ、バッテリーコーチに質問していました。その姿勢は現在の実松一成バッテリーコーチ(43)や、内海哲也投手コーチ(42)に対しても変わりません。今季、小林が正捕手争いに帰って来られたのは、こうした努力の積み重ねでしょう」(前出・同) 攻守交替で味方外野手のキャッチボールの相手を、小林や同じく捕手の岸田行倫(27)らが務めるケースも多い。単なるウォーミングアップではなく、グラウンドに出ることでナイトゲームの照明に「眼」を慣らすためでもあるという。途中出場するとなったとき、変化球を後逸しないためだ。 「リリーバーのブルペン投球のボールを捕ったり、ベンチとブルペンを往復し、味方投手の好不調を見極めたりもしています。ただ大城の場合、先発出場がないときは代打としての準備があるので、こうした準備ができないこともあります」(前出・スポーツ紙記者)