【イベントレポート】柳楽優弥主演「夏目アラタの結婚」には「“映画だから描けるファンタジー”がある」
映画「夏目アラタの結婚」の初日舞台挨拶が本日9月6日に東京・新宿ピカデリーで行われ、キャストの柳楽優弥、黒島結菜、中川大志、丸山礼、市村正親、監督の堤幸彦が登壇した。 【画像】客席にブーケトスをする柳楽優弥と黒島結菜 乃木坂太郎の同名マンガを実写映画化した本作では、元ヤンキーの児童相談所職員・夏目アラタが連続バラバラ殺人事件の真相を探るため、死刑囚・品川真珠に“獄中結婚”を申し出るところから物語が展開していく。柳楽がアラタ、黒島が真珠を演じ、真珠に心酔していく児童相談所職員・桃山香役で丸山、真珠の無実を信じる弁護士・宮前光一役で中川、控訴審の裁判長で真珠の本心を疑う神波昌治役で市村が出演した。 監督・キャスト陣による、観客へのブーケトスで幕を上げた本イベント。柳楽は「盛り上がっていただけて、いい思い出になりました!」とコメントし、中川は「風の抵抗なども考慮して方向や投げ方を変えたので、いい飛球線を描けたのではないかと思います」と分析して会場の笑いを誘う。 本作の公開前の反響を問われると、柳楽は「原作マンガを読んでいる方がすごく多い印象でしたし、予告を観て楽しみにしてくれていた人も多かったですね」と話す。黒島は「予告には私が(ガタガタの)歯を出してケタケタ笑っているシーンが使われていて、周りの人に『怖い映画なんじゃないか』と言われたりもしました。あの映像を観ていた皆さん、結末には驚いたんじゃないかなと思います」と述べた。 中川は黒島との共演について「法廷のシーンはかなり見せ所ですし、大変な撮影でしたね。台本で10ページぐらいのシーンを通しで撮影したので緊張感がありました」と振り返る。映画初出演の丸山は「黒島さんは同い歳ということもあってライバル視していた部分もあるんですが」と切り出して登壇者たちを多少ざわつかせつつ、「ガタガタの歯のマウスピースを何カ月も付けて練習していた話を聞いて、絶え間ない努力をする女優さんなんだと思いました」と口にした。 市村も、黒島が演じた印象的なシーンを回想。「とあるシーンの真珠を見て(マイク・ニコルズの監督作)『卒業』という映画を思い出しました。黒島さんのあのジャンプに、裁判長として感動しました。心がジャンプしていた」と称賛する。堤は「許可をいただいて、リアルに東京拘置所の前で早朝ロケをしたり、建物の中を取材したりと、ご協力いただきました」と自身初の試みに言及した。 イベント後半、市村から丸山に「初めての映画はどうだった?」という質問が飛ぶと、丸山は「『とにかく柳楽さんとコミュニケーション取らないと!』と思ってたんですが、突っ走っちゃって『握手してください!』というところから始まりました。でも最初に皮膚で触れ合っておいてよかったと思いました」と回答。共演シーンの多かった柳楽は「丸山さんのシーン、面会室のところとか特に大好きです。けっこう感情的になる難しいシーンだけど、嫉妬心など絶妙に表現されていました」、中川は「隣で“映画の神様が降りた”というような、ぞわっとする瞬間に立ち会えたし、すごく素敵でした」とそれぞれ称賛を贈った。 また柳楽は「監督は、現場で編集もされるんです。モニタがたくさん置いてあるベースからスピーカーを通して演出をされることが多いんですけど、これがウディ・アレンの影響と聞いたことがあって」と堤に話を振る。堤は「影響というか、見ちゃった。ニューヨークに遊びに行ったとき、公園でウディさんの映画の現場を見ることができたんです。ウディさんの横には、フィルムなのに編集をしているチームがいて、なんだこれ?と1時間ぐらい観察して『これはいけるかも』と。そこから開発し、20年ぐらい前から天の声システムを導入しています」と明かした。 最後に柳楽は「この映画のいいなと思うところは、マーロン・ブランドやジェームズ・ディーンが活躍した1960年代前後のクラシックの名作にあるような“映画だから描けるファンタジー”があること」と語り、「『どういうチャレンジになるんだろう? やってみたい!』と思って参加した作品が、満席で拍手していただけて、最高の初日になりました」と感謝を述べ、イベントは終了した。 「夏目アラタの結婚」は全国で公開中。 (c)乃木坂太郎/小学館 (c)2024 映画「夏目アラタの結婚」製作委員会