「富士登山事前登録システム」静岡県側で運用開始 人数制限なし
富士山の静岡県側3ルート(富士宮、須走、御殿場)の開山日まで1カ月に迫った10日、県は本県側登山者全員にオンライン登録を求める「富士登山事前登録システム」の運用を開始した。初日は午後5時時点で約430人が登録を済ませ、県庁に約50件の問い合わせがあった。静岡、山梨両県で制度や登録などの仕組みが異なる上、開山までの期間も短い。来訪者への周知の徹底が課題となる。 山梨県・吉田ルートでは県条例で通行料2千円を義務化し、夜間や1日4千人以上の入山を禁止する。5月に同県独自のオンライン予約システムを導入し、1日3千人分を予約、千人分を当日とした。 静岡県は、県有地のない本県側では条例による規制が困難だとして、今夏は事前登録システムによる入山管理を試行する。登録内容を基に、午後4時以降は、山小屋の宿泊予約のない人に登山の自粛を求め、弾丸登山者の抑制を図る。人数制限は行わない。 10日に運用が始まった本県の事前登録システムは、既存のチケット販売システムを活用した。登録サイトには「富士登山オフィシャルサイト」から入る。登山ルートや入山日を選択した上で、三つの登山開始時間(午前3時~正午前、正午~午後4時前、午後4時~午前3時前)から一つを選び、日中登山か宿泊予約をした山小屋、交通手段などを申告する。マナー動画を閲覧し、ルール順守を誓うボタンを押すと登録できる。登録者に送られたQRコードを各ルートのチェックポイント(最長で午前4~午後9時まで開設)に示すと認証される。 県富士山世界遺産課は、将来的には、登録情報を活用して人数や時間制限のほか、混雑状況の予測や災害時の入山確認などに役立てたい考え。大石正幸課長は「登録者はまだ少なく、周知不足。あらゆる手法を使って登録を促したい」と話した。
静岡新聞社