プロ3年で1軍登板なし… 来季は育成見込みの巨人24歳左腕が「1軍で活躍することを目指す」と言い切る理由
◇記者コラム「Free Talking」 今季の巨人の先発防御率2・60と救援防御率2・27は、ともにセ・リーグトップ。優勝の原動力となった一方、投手陣にとっては1軍に入るために最も熾烈(しれつ)な競争を強いられる環境だ。2022年には55試合に登板し、今季も2軍では42試合で防御率2・03だった今村信貴投手(30)ですら、1軍登板は7試合どまり。「一つずばぬけたものがないと使ってもらえない」と立ちはだかる壁の高さを口にした。 ◆巨人・阿部監督の「クレドカード」【写真】 それだけ過酷な争いに並々ならぬ決意で挑むのが、プロ入りから3年間で1軍登板がなく、来季は育成契約となる見込みの左腕・山田龍聖投手(24)。厳しい立場からの再出発となるが「来季は支配下復帰ではなく、1軍で活躍することを目指す」と言い切る。 富山・高岡商高からJR東日本を経て、ドラフト2位で22年に入団。今季は2軍で中継ぎとして29試合に登板し、防御率1・65と成長を見せた。「調子が悪くても粘れるようになった。下半身の使い方が安定してきて、直球の質も上がっている」と手応えを語る。 選手生命をかけ、現在は“インターネット断ち”にも取り組む。SNSやネットニュースは「一度見るとズルズル見てしまう」。野球に全力を注ぐため、一切目にしないことを決めた。ネット断ちによって「グダグダすることはなくなった」と時間を効率的に使えている実感を得ている。 育成への降格とはいえ、球団からの期待は依然として大きい。秋季キャンプでは阿部監督がブルペンで、投球の幅を広げるためにカットボールの握りを指導。オーストラリアのウインターリーグにも派遣され、先発に挑戦して奪三振力の高さをアピールしている。 記者としての駆け出し時代を富山で過ごした身として、山田はどうしても気になる存在だ。富山の高校野球をリードする「高商」のエースとして18年夏の甲子園で快投し、富山県民の希望の星となった男が、プロの世界でも躍動する姿を何としても見たい。(巨人担当・杉原雄介)
中日スポーツ