60歳で定年退職するけど、退職金に「確定申告」は必要? 確定申告すると「得になる人」について解説
退職金が2000万円の場合にかかる税金
退職金を一括で受け取る場合は退職所得控除が適用され、課税退職所得に対して税金の計算がなされます。退職金が2000万円だった場合の税金額を計算します。負担する所得税と復興特別所得税は次の順序で計算が可能です。 (1)勤続年数から退職所得控除額を算出 (2)退職金から退職所得控除額を控除し、さらに2分の1にする=課税退職所得金額 (3)(2)の金額に応じて所得税額を計算する (4)(3)の金額に応じて復興特別所得税の額を計算する (5)(3)と(4)の合計が所得税と復興特別所得税 退職所得控除の金額は次のとおりです。 ・勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(80万円未満は80万円) ・勤続年数20年超:800万円+(勤続年数-20年)×70万円 このように、退職所得控除の金額は勤続年数によって変わります。勤続年数が38年以上の場合、退職所得控除が2000万円を超えるため、2000万円の退職金に所得税はかかりません。 仮に、勤続年数が30年だった場合、退職所得控除は1500万円ですので、課税退職所得金額は500万円(2000万円-1500万円)の半分の250万円です。そして、課税退職所得金額の250万円に対する所得税額は次のとおりです。 ・250万円×10%-9万7500円=15万2500円 所得税額(基準所得税額)に2.1%を乗じたものが復興特別所得税ですので、その金額は3203円になります。つまり、所得税と復興特別所得税の合計では15万5703円です。また、住民税は基本的には10%ですので、課税退職所得金額に10%を乗じた25万円程度になります。
まとめ
退職金に確定申告は原則として不要ですが、したほうが得になる人もいます。退職金の税金は控除が大きいとはいえ、特に退職金の金額自体が大きかったり、勤続年数が短かったりするとその負担は軽いとは言い切れません。 退職金は老後を支える大切な資金ですので、使い道だけでなく税金についてもしっかり考えておきましょう。 出典 国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得) 国税庁 退職金と税 総務省 令和4年度第3回個人住民税検討会 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部