斎藤佑樹さんに憧れ入部、球速は20キロ増 横浜瀬谷の住沢一朗選手
(7日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会1回戦 金井5―1横浜瀬谷) 一回裏、無死満塁のピンチに、横浜瀬谷・住沢一朗(3年)が伝令に走った。握り拳を見せながら、「(緊張していても)ガチガチでいけ!」。監督の口ぶりをまねすると、マウンドに笑顔が広がった。 運動部経験はなかったが、プロ野球・元日本ハムの斎藤佑樹さんが2006年夏の甲子園で全国制覇を果たす映像を見て憧れ、高校から野球を始めた。「諦めない姿勢がかっこよくて」。スマホの待ち受け画面はずっと斎藤さんだ。 入部後は壁当てから始め、毎朝の自主練習も欠かさなかった。球速は20キロ上がり、120キロあった体重は86キロにまで減り、引き締まった。特注の大きなサイズのユニホームもブカブカになった。 春の練習試合では8回を投げ切り、初めて勝利投手になった。背番号10を背負った今大会、最初で最後の公式戦のマウンドは遠く、登板機会のないままベンチで試合終了を迎えた。 伝令で立ったマウンドから見た観客席の様子が忘れられない。「努力を続けて、大学では斎藤さんみたいなエースになりたい」。試合後、ゆるくなったユニホームの袖で大粒の涙をぬぐった。(堅島敢太郎)
朝日新聞社