この道一筋 社会に貢献 春の叙勲に安房から6人(千葉県)
令和6年春の叙勲受章者が、29日付で政府から発表された。全国で4112人、県関係では172人が受章。安房地域からは元市議会議長や元町議会議長、日本タイル煉瓦工事工業会副会長、元国勢調査員ら6人が晴れの栄誉に輝いた。長年にわたり、それぞれの分野で業務に励み、社会に貢献したことが認められた。受章者は旭日双光章3人、瑞宝小綬章1人、瑞宝双光章1人、瑞宝単光章1人。4人の受章者から喜びの声を聞いた。
「是々非々」で議員24年 地方自治功労 笹生正己氏(73) 鋸南
父は第十代議長を務めた笹生一雄氏。自身も地元の未来を案じて出馬し、48歳で初当選。6期24年にわたり、地方自治に尽力した。 第21代議長をはじめ、総務常任委員長、議会運営委員会委員長など、多くの要職を歴任。「是は是、非は非」の姿勢を大切に、円滑な議会運営と時宜を得た施策との連携で、厳しい財政状況の中、行政の充実、町の発展に貢献した。通算11年間務めた鋸南地区環境衛生組合議会議員では、令和9年度から稼働予定の君津地域広域廃棄物処理事業に参加するための協議を行い、衛生行政を前に進めた。 「議論の内容を住民に伝える義務がある」との使命感から、議会後は必ず、町民への報告会を開催。「コロナ禍を除き欠かしたことはない。これだけは胸を張れる」と振り返る。 受章に「同期と友人に恵まれたおかげで、務め上げることができた。支えてくれた家族に感謝を伝えたい。今後は、町の発展を側面から支えていきたい」と語った。
タイル業界振興に尽力 専門工事業振興功労 綱嶋茂信氏(74) 鴨川
「身に余る光栄。受章は私一人ではなく家族や従業員はじめ、一体となって活動してくれた同業者あってこそ」と周囲への感謝を語る。 新潟県出身。体が弱かった両親の療養のため温暖な鴨川へ。昭和45年、いち早く家族の支えになるべく20歳で綱嶋タイル興業所を創業した。 「タイルは風呂場やトイレの床などに使われるのが主流だったが、時代の流れとともに家の外壁やコンビニの床など用途が変化。時代に合わせた施工法、技術を身に付けるのが大変だった」と職人としての苦労を語る。 平成26年からは日本タイル煉瓦工事工業会副会長に。若手技能者の技能レベルを競う「技能五輪全国大会」などの審査員を務め、若手技能者への技術伝承にも力を注いでいる。 業界が抱える担い手不足、職人の高齢化に対して「働き方改革や、若年層へのPRを通じてものづくりの楽しさを伝えることで、自分を成長させてくれた業界に恩返ししていきたい」と意気込む。