日銀・黒田総裁会合後の会見3月16日(全文1)金融緩和策、現状を維持
G20の声明文、リスク要因について
読売新聞:読売新聞の〓***00:15:20〓です。質問、2点あります。1つは、先ほどG20についてお話ありましたが、声明文の素案では、保護主義に対抗するといった言葉や通貨安政策の回避といった文言が削除されるという報道もあるのですけれども、あらためまして黒田総裁はどのような形で、議論の場で訴えていかれるのかということをお聞かせください。 もう1点はリスク要因、今日の〓冒頭文 00:15:50〓の中でリスク要因として、米国経済の動向や、そのもとでの金融政策運営が与える影響ということを書いていらっしゃるんですけれども、この辺り、もう少し詳しくお聞かせください。 黒田:まずG20の声明文ですが、これはまだ事務方でいろいろ議論をしており、さらにはG20の実際の会議を踏まえつつ、現地で事務方がいろいろ詰めていくという話ですので、現時点で私からは声明文の内容について何か申し上げることは避けたいと思いますが、従来からG20と限らず、IMFCにしてもOECDにしても、保護主義が世界貿易の伸び率を低下させるということになると世界経済の成長自体にも良くない影響があるということで、自由な貿易、投資体制というものを維持していく必要はあるということは従来からいわれていまして、その点について私も含めて日本の考え方が変わるっていうことはないと思います。 為替については、これは財務省の所感ですので、私からは何も申し上げられませんけども、為替政策についての考え方についても、国際的な議論、合意がずっとできておりますし、財務省が何か考え方を変えたというふうには私は認識しておりません。 それから米国の経済のことですが、米国経済自体はご案内のとおり、非常に順調に成長しておりまして、特にこの雇用、所得環境が改善する中で家計支出を中心にこの回復しているわけですけれども、それだけでなく、かなり企業部門を含めて広い分野で、米国経済は全体として改善しているということは確かであります。 で、特に個人消費がしっかりと伸びておりますし、また雇用は最近のデータでも非農業部門の雇用者数が23.5万人も増加したっていうことで、消費の伸びを支える雇用所得環境の着実な改善というものも続いてるということでありますので、米国経済自体について、そんなに心配する必要があるとは思っておりません。 で、他方でもちろん、FRBは物価の安定と雇用の極大化っていうことに向けて、しっかりした政策を続けておられますし、また政府はこの新しい政権になって、減税あるいはインフラ投資という形で財政の拡張を主張しておられまして、これは両方とも議会で法案、ないし予算が通らないと実現できませんので、その状況は今後の在り方次第だと思いますし、また通商関係についての政策についてもまだ具体的なものが出てきてるわけではありませんので、そういった意味で、政府の財政政策であるとか、政府っていうか政府と議会ですね。財政政策であるとか、規制緩和などを中心にした構造改革などについてもまだ具体的な政策が出てきておりませんので、そういった面で不確実性が残っているということだと思いますが、米国経済自体は現状も先行きもかなりしっかりしているというふうに思っております。 【連載】日銀・黒田総裁会合後の会見1月31日 全文2へ続く