日銀・黒田総裁会合後の会見3月16日(全文1)金融緩和策、現状を維持
米利上げを受け、新興市場を中心とする世界の金融市場への影響について
全文2時事通信:ありがとうございます。時事通信社〓タカハシ 00:08:52〓と申します。米利上げについて、新興市場を中心とする世界の金融市場への影響をどう考えてらっしゃるか、まず1点目としてお聞かせください。で、2点目ですが、ドイツのバーデン・バーデンで17日からG20、財務相・中銀総裁会議が始まりますが、世界経済の成長に向けて自由貿易の重要性や為替の安定などに関して、G20がどういうメッセージを打つのかが注目されていると思います。会議の見通しと総裁自身、何を期待されるのか、お聞かせください。 黒田:FRBの金融政策運営自体について何か具体的にコメントするっていうことは差し控えたいと思いますけれども、ご案内のとおりFRBは事前の市場の予想どおり0.25%の利上げを実施いたしました。で、その声明文ではインフレ率は最近上昇しており、長期目標である2%に近づいている。エネルギー、食品を除くインフレ率はほとんど変化がなく、2%を幾分下回る水準というふうに評価をしております。またイエレン議長は記者会見におきまして米国の経済状況は雇用と物価の目標を達成し、維持するための金利の上昇を制度化する形で展開すると予想しているという従来からの目標を確認いたしております。FRBは今後とも米国の経済物価動向や、それから世界経済、金融情勢を見極めながら金融政策に関する判断を適切に行っていかれるものというふうに考えております。 現時点で、米国における金利の上昇っていうものが、新興国の経済に何か深刻な影響を与えているというような状況にはないと思っておりますけれども、もとより新興国もさまざまでありますので、今後とも国際金融情勢が新興国に与える影響については、注意深く見ていく必要があるというふうに思っております。 それからG20につきましては、これはまだこれから、今週末に行われるということですので、具体的なことを申し上げる状況にありませんけれども、G20ですから会合ではいつものとおり、世界経済の現状と先行き、それから国際金融情勢について議論が行われると思います。またG20として従来からの成長戦略の実施状況や、あるいは金融規制の改革、国際金融アーキテクチャーなども、などについても引き続き議論をしていくということになろうかと思います。 なんと言いましても今回のG20では米国の新政権の下でムニューシン財務長官が初めて出席されるということですので、当然、米国の経済政策等についても深い関心が持たれるのではないかというふうに思っております。 いずれにいたしましても、G20はいつもそうですけれども財務大臣・中央銀行総裁会議が何度かありまして、最終的にG20の首脳会議に向けて合意を深めていくというプロセス。ドイツが議長国となった最初の出発点であるというふうに思っております。 日本経済新聞:日経新聞の〓イシカワ 00:12:58〓といいます。1点、お伺いしたいのはマーケットでは日銀が長期金利の操作目標を年内どこかの時点で引き上げるのではないかというような、そういう観測も出ています。で、量についてはオーバーシュートでやるということで、割と明確に解除の条件を定めているわけですけれども、長期金利をいつ上げるかっていう、そこの情報が少し不足しているような、と思います。日銀としてどういう条件が整ったら長期金利の目標を引き上げるというのか、検討の視野に入ってくるのか。そこの条件のようなところについて、少しお話いただければと思います。 黒田:日本銀行が昨年の9月に導入いたしました、長短金利操作付き量的・質的金融緩和というこのフレームワークの下で、経済、物価、金融の状況を踏まえながら、2%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するために、最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促すということにしておりまして、当然のことながら、長期金利の操作目標につきましてもこうした考え方に立って、毎回の金融政策決定会合において、判断していくということになります。 金融政策はご案内のとおり、この金融市場、あるいは金融機関を通じて効果が、実体経済にはっきりしていくというものですので、その運営に当たっては政策に関する考え方、あるいは前提となる経済、物価情勢についての判断をできるだけ分かり安く説明して、理解を得ていくということが大変重要だと思います。ただ現状では2%の物価安定の目標までにはまだ、なお距離がありまして、これをできるだけ早期に実現するためには現在の金融市場調節方針の下で、強力な金融緩和を推進していくということが適切だというふうに考えております。