米の薬物過剰摂取の死者、5年ぶり減少 依然として10万人超
米国の2023年の薬物過剰摂取による死者数が、前年比で3%減少したことが15日、米疾病対策センター(CDC)が更新した統計で明らかになった。死者数が減少に転じたのは5年ぶりだが、依然として10万人を超えている。 【図表】歴代の米大統領、一番人気なのは 死者は推計10万7543人。このうち、麻薬性鎮痛剤「オピオイド」の過剰摂取による死者が全体の4分の3を占めた。死者数は確定しておらず、今後変動する可能性がある。 米ABCニュースは、米食品医薬品局(FDA)が23年3月にオピオイドの過剰摂取時に投与される拮抗(きっこう)薬を市販薬として承認し、処方箋なしで薬局で購入できるようになったことなどが、死者数減少につながった可能性があると報じている。 米国では化学的に作られるオピオイドの一種「フェンタニル」の乱用が社会問題になっている。フェンタニルは医療用として開発されたが、麻薬としてまん延。メキシコの麻薬カルテルが中国製の原材料を使って合成し、米国に密輸している。 米麻薬取締局(DEA)によると、フェンタニルの効き目はヘロインの50倍、モルヒネの100倍以上。致死量は2ミリグラムで、食卓塩10~15粒分としている。【ニューヨーク中村聡也】