米国の労働者は、日本人より「年200時間も多く働いている」…広まる「週4勤務」の導入企業が語ったホンネは?
<週に5日も働くのはもう古い。これからは生産性を上げて、きっちり働いてしっかり休むのが時代の流れだ>
新型コロナウイルスの感染爆発で、私たちの働き方は劇的に変わった。職場に行かなくても仕事はできる。ズームを通じて顧客や同僚に「会う」こともできる。それが当たり前になった。でも、いま30~40代のミレニアル世代はもっと楽をしたい。もっとプライベートな時間が欲しい。だから、働くのは週に4日でいいと思っている。 ●日本だけ給料が上がらない謎…その原因をはっきり示す4つのグラフ 20世紀には「週5勤務」が先進国の世界標準だったが、これからは働く日を1日減らし、週40時間労働から週32時間に移行する一方、仕事量は減らさず給料も(たいていのケースでは)減らさない。そういう仕組みを先駆的に、部分的にでも導入した企業はたくさんある。 この流れには勢いがある。自称「民主的社会主義者」のバーニー・サンダース米上院議員も「週4勤務」制の推進派だ。3月には自らが委員長を務める上院の厚生・教育・労働・年金委員会の公聴会で、こう発言している。 「悲しいことだが、ほかの豊かな先進諸国に比べて、アメリカ人はずっと長く働かされている。この事実が一般の人々の暮らしにどのような意味を持つか、この点を議論しようではないか。2022年の数字で、アメリカの労働者は勤勉で知られる日本の労働者より年間204時間も多く働いていた。イギリスの労働者より279時間、ドイツの労働者より470時間も長く働いていた」(本誌はこれらの数字について電子メールでサンダースに確認を求めたが、返信を得られていない) 政治家だけではない。今は多くの営利企業や非営利団体が、革命的な働き方改革に取り組んでいる。 働く日を減らし、ゆっくり休める日を増やせば、どんなメリットがあるか。この点を検証する試みはアメリカでもイギリスでも、EU諸国でも行われている。そしてどうやら、40代以下の若い世代はこの変化を歓迎しているようだ。 ■「週4勤務」で生産性が上がる 本誌の委嘱で英調査会社レッドフィールド&ウィルトン・ストラテジーズが実施した世論調査によれば、労働時間の短縮を最も強く支持しているのはミレニアル世代だ。 4月6~7日にアメリカの有権者4000人を対象に行われたこの調査では、回答者の63%が週4勤務への移行に賛成し、46%が「そうすれば労働者の生産性は上がる」と考えていた。 賛成が最も多かったのは30~40代のミレニアル世代で、回答者のほぼ4分の3(74%)が労働時間の短縮を望んでいた(具体的には週4勤務への移行に「大いに賛成」とした人が半数弱の44%で、「一般論として賛成」とした人が30%)。この世代で週4勤務への移行に反対と答えた人は8%のみだった。 一方、戦後の1964年までに生まれたベビーブーム世代や、それに先行する80代以上の人たちの価値観は違う。この年齢層で週4勤務を支持すると答えた人は2人に1人、「どちらとも言えない」がほぼ3人に1人だった。ちなみにミレニアル世代で「どちらとも言えない」は、4人に1人に満たない23%だった。 本誌は週4勤務のシステムを導入、あるいは試してみた企業に取材し、その成果や評価を聞いた。すると対象企業の過半数から、従業員のワークライフバランスに大幅な改善が認められ、過労で燃え尽きてしまう従業員の数が減り、従業員の定着率も向上したとの回答が得られた。 いい例がクラウドファンディング専門のサイト運営会社キックスターターだ。同社はコロナ禍が収まりつつあった22年、週4勤3休のシステムを導入した。