メゾンマルジェラが人気の「タビ」ブーツを NFT で販売。デジタルコミュニティ内でのロイヤルティ醸成を狙う
マーチで注目されているのはNFTではなく現実アイテム
しかしマーチのフィジタルコレクションの発売において注目されているのは、NFTではなくカスタマイズされた現実のアイテムの方である。 マーチの創業者であるコルビー・マグラビ氏は「人々はデジタル資産の物理的要素を重要視している」と語る。コレクターはNFTが鋳造されるまで、自分がどんなパーカーを購入したかわからないと同氏は指摘した。 フィジタルファッションアイテムを専門に扱うマーチは3月、リバティシティベンチャーズ(Liberty City Ventures)主導によるシードラウンドで640万ドル(約10億円)の資金を調達したと発表している。
コミュニティで顧客の帰属意識とエンゲージメントを高める
今回のローンチを宣伝するためにメゾンマルジェラは4月15日にXスペース(X Spaces)でのイベントを主催。このメタタビNFTプロジェクトに関心を持つ1000人以上の熱心なリスナーが集まった。 「Web3の精神に忠実でありながら優れたファッションにも忠実である顧客とブランドとのコミュニケーションのアプローチは、コレクターらのあいだに帰属意識とエンゲージメントを生み出し、仮想体験と現実体験とのギャップを埋めるものだ」とロッソ氏は語る。 またメゾンマルジェラはDiscord(ディスコード)にも積極的に参加しており、そこには1万人のメンバーがいる。 Discordやそのほかのコミュニティエンゲージメントツールを活用することによって、ブランドは顧客についてより詳細な情報を収集することができる。たとえばメゾンマルジェラのDiscordに参加するためには、OTBグループが保有するどのブランドに興味があるか、出身地はどこかなどの質問に答えなければならない。こうしたユーザーとの交流はユーザーエクスペリエンスを形成し、デジタルコミュニティ内での帰属意識と長期的なロイヤルティを育む。 OTBはメゾンマルジェラのほかにマルニ(Marni)やディーゼル(Diesel)を所有しており、2023年の収益は19億ユーロ(20億ドル、約3085億円)を記録した。 マーチのDiscordには約250人のメンバー、そしてXには2000人以上のフォロワーがいる。同ブランドはフィジタルコレクション発売までの28日間で、この2つのプラットフォーム上で32万8000回のインプレッションを記録した。 LVMH、ラコステ(Lacoste)、クロックス(Crocs)などのブランドもこの数年で、フィジタルアイテムをローンチしている。 [原文:Maison Margiela aims to drive loyalty with new phygital product launch] ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:都築成果)
編集部