『ビリオン×スクール』加賀美が東堂親子に仕掛けた授業 最後に立ちはだかるのは安達祐実?
ドラマ『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)第9話は「VS校長編」のラストであり、予告で事前に宣言されていたように“伏線全回収”となる回。加賀美(山田涼介)はなぜ記憶を失ったのか、校長の東堂(水野美紀)との関係、その過去に登場するある人物、雪美(大原梓)が非行に走った真相がすべてリンクしていく。 【コラム】スーツを着ている加賀美(山田涼介) 20年前、加賀美は東堂の生徒だった。加賀美と同じクラスだったのが、絵都学園の校務員として加賀美に話しかけていた内巻(神木隆之介)。第3話で内巻は学生時代に「クソ巻」と呼ばれていたと明かしていたが、その過去があるアイテムをきっかけにして加賀美の脳内でフラッシュバックしていく。クラス内でのいじめの標的はやがて加賀美へと移っていくが、彼は芹沢(木南晴夏)に小型カメラとICレコーダーを準備させ、いじめの様子を自身で撮影。その証拠を持って、まだ幼い加賀美は東堂にクラスでいじめに遭っていること、いじめを告発することを予告するが、東堂はデータの入ったUSBメモリーを奪おうとして、その拍子に加賀美は屋上から転落。録音していたICレコーダーには鈍い衝撃音が残っていた。 ICレコーダーの音声から真実を知り、記憶が戻った加賀美の表情は、じっと一点を見つめうっすらと涙を浮かべている。いじめられていた過去、さらに父・治(市村正親)が息子がいじめに遭っていた事実をもみ消していたことを知り、ショックは増していく一方だ。 雪美もICレコーダーに残されていた音声から母が過去に犯した過ちを察し、母に軽蔑の目を向けるようになっていた。それは第8話で描かれた城島(奥野壮)と知り合う少し前のこと。つまり雪美の笑顔が消えたのは全て城島の暴力のせいではないとも言えるが、「どんな時も自分に恥ずかしくない行動をしなさい」という母の言葉に逆らうようにして、雪美は非行に走っていった。 東堂家の親子の絆、過去の過ちと後悔――加賀美が東堂親子に仕掛ける“授業”は、東堂と共に再び屋上から転落するという驚きの内容だ。だが、今の加賀美には自ら開発した自慢の発明の数々がある。光学迷彩透過布で覆われたマットで助かる前提で、加賀美は東堂が手を差し伸べてくれることに懸けたのだ。 「人間である限り、過ちを犯す。だが、たった一つの過ちで、その人の全てを否定する必要はない。信じてた言葉や感じた感情まで、否定する必要はない。その人を好きだった自分まで、否定することはないんだ」 雪美、そして東堂に向けた加賀美のセリフであるが、キャンセルカルチャーが頻発するようになった今の時代、何を信じていいのか分からなくなってしまった時に響く言葉でもある。親子共々、犯した罪は一生消えることはないが、東堂は雪美に「向き合っていきましょう、一緒に」と誓い合い、頬を寄せ合った。「自分に恥ずかしくない行動」というのは、東堂にとっての自戒の念を込めた言葉だったのかもしれない。 次回からは「最終章」に突入。文化祭に向けた物語が展開されていくが、一方でティーチ(安達祐実)がまさかの暴走。最後に立ちはだかるのは、加賀美が自身で開発したAIプログラムということになるのだろうか。 なお、先週の『となりのトトロ』に引き続き、今回も放送の裏では『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にて『天空の城ラピュタ』がオンエアされていたということで、「CM60秒の後、全伏線回収開始――」「60秒で支度しな!」「加賀美の過去に涙腺が緩んで…」「目が…目がぁ…」と今回もまた次回予告まで真裏を意識したジブリネタで固められていた。
渡辺彰浩