U23代表・松木玖生、ビッグマウスと呼ばれても「言葉に出し高みを目指す」ローランドと人生論を共有する生き方
◆サッカー男子パリ五輪アジア最終予選兼U―23アジア杯 ▽1次リーグB組第1戦 日本1―0中国(16日・ドーハ) 【ドーハ(カタール)16日=後藤亮太】1次リーグB組初戦でU―23日本代表は中国を1―0で下し、8大会連続五輪出場へ白星発進を決めた。勝利に大きく貢献したのが、前半8分に先制点を決めたMF松木玖生(20)。高校選手権優勝など青森山田時代から脚光を浴びてきた逸材の今大会に懸ける強い覚悟を、後藤亮太記者が「見た」。なお、第2戦はUAEと日本時間20日に対戦。勝利すると8強入りが決まる可能性がある。 * * * 乾いた風が吹くスタジアムで、松木は自らの公約を果たした。4―3―3の左インサイドハーフで先発すると、前半8分に右からのクロスを左足で合わせて先制点を決めた。気温26度と、日本より少しだけ暑いという戦いやすい環境下での初戦。「勝負強さは出たかなと思います」。自らが頂点へと駆け上がるためにパリ五輪の切符をかけた最終予選で自らに課した決意。それは「出場した試合は全試合得点を決めること」。同17分にDF西尾が一発退場となり、結果的にこの1点が日本を救った。 8大会連続の五輪を目指す舞台。その前に自らを奮い立たせる機会があった。「最後は勝つ星の下に生まれている」。3月に松木はテレビ番組の企画で「ホスト界の帝王」と呼ばれる実業家のROLANDと対談。青森山田時代から著書「俺か、俺以外か。ローランドという生き方」を愛読するなど、憧れてきた存在との会話の中で「自分も常に一番を狙ってという気持ちがある。その言葉通りかな」と決意を新たにした。 3年連続で全国高校選手権に出場し、3年時は主将で優勝。FC東京では高卒1年目で開幕スタメンを飾り、3年目の今季は主将を託された。順風満帆に見えるが「サッカー界で20歳は若くない」と言うように「伸び悩んでいるわけではないけど、1年目に比べて生き生きできていない。今のプレーは外から見たら良くないと思う」と自己評価は厳しい。 だからこそ、得点だけではなく、副主将の一人としてチームを鼓舞。体を投げ出して顔面やおなかでシュートブロックするなど、チームを勝たせるために戦い続けた。時にビッグマウスと言われるが、冒頭の対談から「しっかり言葉に出して自分に責任を持ちながら高みを目指していくというのをあらためて学べた」と自身の哲学も再確認。伸び悩みと言われようが「ここからはい上がっていくところを見てほしい」と言い切るところも魅力。8大会連続五輪出場へ、松木が大岩ジャパンの主役になる。 ◆松木に聞く ―厳しい試合となったが。 「早い段階で得点を取ることできて非常に良かった。退場者が出てからも自分たちの中では焦りはなかったというか、別に想定内のところでもあったので。チームで守り切ることができて良かった」 ―先制点の場面を振り返って。 「いいボールが来たんで、あとはキーパーを見てしっかりと流し込むことができた。トレーニングでクロスからのシュートは結構コンディションが良かったので」 ―ゴール後には銃を撃つポーズを見せていたが、イングランド代表MFのフォーデンをマネて? 「はい。やろうと思っていて。憧れの選手なので」 ―試合後に西尾からの言葉はあった? 「申し訳ないと言っていましたけど、チームは全然、(西尾)隆矢くんのことを悪いとは思ってないですし、逆にこれに勝てて、チームの意識もさらに高まったところはあるかな」 ―次戦UAE戦に向けて。 「ゴールに多く絡むことと、チャンスメイクのところを監督にも求められている。次の試合も、その次ももちろん大事になってくると思うので、もっと磨きをかけていきたい」
報知新聞社