11年ぶり準優勝 屈辱から築いた〝新星 大牟田〟長髪&サングラス解禁、新米コーチ加入…手の甲の文字は「強」を続けた【全国高校駅伝】
22日に京都市内で行われた全国高校駅伝の男子で、福岡県代表の大牟田が2013年以来11年ぶりの準優勝を飾った。5度の全国制覇を誇る同校も、近年は出場を逃すなど一時低迷していた。「新星 大牟田」を掲げたチームは「規制緩和」に着手し、自主性を高めるよう意識を改革。伝統と新たな風との融合で、強豪復活を印象づけた。(浜口妙華、米村勇飛) ■全国高校駅伝男子の上位成績と区間賞 笑顔でガッツポーズを繰り返す姿で、全国の駅伝ファンを魅了した。3位争いを繰り広げていた4区(8・0875キロ)。野田顕臣(3年)はレース中、沿道の声援に何度も応えた。本来ならば体力を消耗する行為も「大牟田はすごいんだぞと相手に知らしめたかった」とあえて行い、区間賞の走りで証明した。 昨冬亡くなった大見治夫元監督の下、1975年に初優勝するなど5度優勝。20世紀後半の高校駅伝界をけん引した。だが、2017年に連続出場が31年で途絶えると、21、22年も出場を逃した。 「伝統、伝統と言ってきたけどゼロになってしまった。新しい大牟田を築かなければ」。赤池健ヘッドコーチ(52)は昨年春、丸刈りに統一していた選手に長髪を解禁。自主性を重んじ、普段の生活態度や練習への向き合い方などを自ら考える癖を付けてもらう狙いもあった。今年からはレースでのサングラス着用も解禁。選手たちは「日差しが強くても目を開けやすく、集中して走れる」と歓迎し、より走りに打ち込んだ。 今春からは赤池ヘッドコーチの長男でOBの陸コーチ(23)が加入。選手から不調などの相談を受けたり、指揮官の練習の意図などを伝えたりする〝パイプ役〟を担い、チームの一体感が高まった。5区を走った塚田虎翼(3年)は「年が近くて話しやすい。練習の目的もよく分かる」と振り返る。 学校近くの甘木山で長距離を速いペースで走る伝統の練習は継続。手の甲に漢字一文字を書く風習も受け継ぐ。ただ、これまではレースによって文字を変えていたが、今年はメンバー外も含む部員全員が「強」と書き続け、強さを示した。 伝統と新風を融合させて戻ってきた大舞台での優勝争い。3区(8・1075キロ)を走った松田祐真主将(3年)は「変化の結果がある程度出ている。ただ優勝できなかったので、道半ば」と先頭でゴールテープを切る近未来を後輩たちに託した。 ▼全国高校駅伝男子の上位成績と区間賞▼
西日本新聞社