センバツ高校野球 仙台育英、4強あと一歩 土壇場で執念の同点打 /宮城
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)は大会第10日の29日、準々決勝で仙台育英(宮城)が報徳学園(兵庫)と延長十回タイブレークの末、4―5で敗れ、準優勝した2001年以来の4強入りはならなかった。チームが目指した甲子園での「夏春連覇」の夢はついえたが、最後まで死力を尽くした選手たちにスタンドからは温かい拍手が送られた。【平家勇大、来住哲司】 相手の強力打線に4人の継投で挑んだ仙台育英。土壇場で執念の追い上げを見せたが、あと一歩及ばなかった。 初回、先発の仁田陽翔(3年)はキレのある変化球で1、2番打者を抑えたが、その後は相手打線につかまり2点を失った。二回無死一塁、悪い流れを断ち切ろうとエースの高橋煌稀(同)が登板し、この回を1失点に抑えた。 投手陣の粘りに応えようと打線も奮起。六回表、4番の斎藤陽(同)が、左前打で活路を開くと、湯浅桜翼(2年)も安打で続き、浜田大輔(同)の振り逃げ出塁の間に、斎藤陽が生還した。苦しい展開を見守っていたアルプススタンドの応援団約270人は歓喜の声を上げ、チアリーディング部の宮島成映部長は「40人の部員で迫力のある応援をしたい」とパフォーマンスでチームを勢いづけた。 六回裏には湯田統真(3年)、八回裏には田中優飛(同)がマウンドに上がり、粘り強いピッチングで試合をつないだ。 試合が動いたのは、2点を追う九回2死一塁の場面。代打の永田一心(同)が放った飛球を中堅手が落球し、その間に1点を返した。続く4番、斎藤陽の左前適時打で同点とすると、スタンドには悲鳴のような歓声が上がった。 迎えた延長十回、1死二、三塁から浜田が右前適時打を放ち1点を勝ち越したが、その裏に1点を返され、再び同点に。応援団はマウンドで力投する田中に声をからしてエールを送ったが、最後は相手の左前適時打でサヨナラ負けを喫した。 主将の山田脩也(同)は試合終了後、「最後に粘りきれなかったことが自分たちの弱さ。夏に向けてもう一度強化したい」と語った。 野球部員で応援団長の熊田翼さん(同)は「悔しい気持ちが一番だが、素晴らしいゲームをみせてくれた」と選手をたたえた。