最年長の遠藤保仁 3大会越しの思い
日本代表の23人中、唯一、3大会連続の出場となる遠藤保仁は、本大会における辛酸と歓喜を知るただ一人の男でもある。フィールドプレーヤーで出番がなく、サッカー王国になす術無く叩きのめされる姿を傍観した8年前のドイツ大会では「あれだけの選手が揃っていても勝てない。改めて世界で勝つ難しさを知った」。 一方で、チームの心臓としてフル稼働。デンマーク戦では自身の代名詞でもある華麗な直接FKを叩き込み、決勝トーナメント進出に貢献した南アフリカ大会では「目標にしていたのはもっと上だったので悔しさもあったけど、ワールドカップっていいなと思った」という充実感も味わった。あれから4年ーー。今回のチームで最年長となる34歳にとって世界最大のサッカーの祭典はもはや「夢」ではなく、現実的な目標となっていたがブラジル行きの23人に名を連ねた直後の記者会見で口をついたのは率直な喜びと遠藤らしい落選した仲間への思いだった。「名前が呼ばれたときはもちろん嬉しかったけど、今まで戦ってきてメンバーに入っていない仲間もいる。今回一緒に行けないメンバーの分まで頑張りたい」 屈辱に近い悔しさを味わったドイツ大会を機に、ワールドカップのピッチに立つことを目標にした男にとって、南アフリカ大会は4年後に「更に上を目指す」ことを明確に意識させられた舞台だ。遠藤は言う。「4年前も頂点に立ったわけではないから。一番高い所を目指している限り、僕は燃え尽きることはない」。 鹿児島実業時代にはブラジル人コーチの指導を受け、ブラジルにも短期でサッカー留学。「僕らが小さい時はサッカーと言えば、ブラジル。かなり影響を受けている」という憧れの地は、遠藤のサッカー人生の節目に不思議とリンクしてきた。ピッチに立てないという屈辱を味わったドイツ大会のグループリーグでは3戦目。2012年のカナリア軍団とのフレンドリーマッチは、自身にとっての金字塔となるA代表史上最多の123試合目だった。昨年のコンフェデレーションズカップでは、その開幕戦で対戦した。結局、惨敗。グループリーグでは3連敗したが、「コンフェデとは、また違う雰囲気でさらに注目度も上がる。ブラジルでやれるのは嬉しいし、そこでいい結果を残したい」と、遠藤は、意気込みを口にした。