道長暗殺計画を寸前で阻止、意外な人物が貢献…伊周との分断は決定的に【光る君へ】
襲撃計画、劇的なドラマ展開にSNS大興奮
さてそんな「笑ってはいけない御嶽詣」の裏で、藤原伊周による道長くん襲撃計画は、ちゃくちゃくと進んでいた。前回のコラムでも記したが、この暗殺計画自体は確かに噂にはなったが、特にそれが進んでいたという記録も残っていない。しかし『光る君へ』では、実行一歩手前までいったものの、弟・隆家が兄の様子がおかしいことを察知して、何食わぬ顔で道長を助けに来たという、なかなかに劇的なドラマに仕立て上げてきた。 SNSでも「うわーうわー弟くんそうくるか!」「隆家! GJ!!」「あの時(長徳の変)身をはって伊周は隆家を止められなかった。だけど、隆家は射られるのを構わず伊周を止めた、ここが差なのだ」「道長の襲撃が成功していれば、いずれ必ず伊周が主犯だとバレる。兄の処刑は確実。隆家は兄から恨まれようとも罪滅ぼしのために体を張る必要があったのだ」などの、隆家の判断と行動力を大絶賛する声があふれた。
隆家を敵と見なした伊周、分断は決定的に
家の没落以降、巻き返しをあきらめずに悪あがきする兄と、家の再興など考えず道長に従順する弟・・・と、ゆるやかに道を違えていた伊周と隆家。しかし伊周が今回の計画を、隆家に少しも相談せずに進めたこと。さらにそれを阻んだ隆家を「敵」と見なしたことで、分断は決定的になってしまったと言える。隆家が伊周に、改めて「長徳の変」の失態を詫びる言葉は、ある意味別れの挨拶と言えるものだったのかもしれない。 SNSでも「何も考えずに好き勝手に生きてる子かと思ってたら、妄執に取り憑かれた兄さん想いのよくできた弟だった」「過去の栄光に囚われ続ける兄と、深く後悔し、元気いっぱい前に進む弟。光と闇だなぁ」「伊周にとって弟は救いの神なのか疫病神なのか。ここで決別するのか」「隆家くん、身内に対しての罪悪感に焼かれつつ、主人公陣営に寝返ってるの、光堕ちとしてあまりに美しい」などの言葉が上がっていた。 隆家役の竜星涼は、「自分が謝ることで兄貴が変わってくれることを望んだけど、やっぱり反応はイマイチで、もう止められなくなったかというさみしさを感じた」と、公式のインタビューで語っていた。彼のコメント通り、完全に暗黒のトンネルから出られなくなった伊周。ここまで来たら、父・道隆役の井浦新がかつて『平清盛』で演じた崇徳上皇並みの、大河ドラマの歴史に残るぐらいの闇落ちぶりを期待したい。伊周ならやってくれる! ◇ 『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。9月22日放送の第36回「待ち望まれた日」では、中宮・彰子が一条天皇(塩野瑛久)の子を宿したことで、まひろが道長から一つの使命を受けることと、清少納言(ファーストサマーウイカ)が伊周にある訴えを持ちかけるところが描かれる。 文/吉永美和子