解説:3分でわかるインド総選挙、「世界最大の選挙」争点とポイントは何か
有権者の数、およそ10億人──。今月、インドで世界最大の選挙が行われる。 世論調査では、モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)の大勝が予想されている。だが野党は不均等な経済成長、インドの少数民族であるイスラム教徒に対する扱い、偏った汚職捜査など、さまざまな問題点を指摘している。 4月19日から始まるインド総選挙のポイントをまとめた。 <経済> インドの昨年度の経済成長率は、約8%と予測されている。これは主要国の中で最も高い。過去10年間で、インドは世界第5位の経済大国に急成長した。モディ氏は、選挙に勝てばそれを第3位まで引き上げると宣言している。 だが経済成長の恩恵は、都市部でより顕著だとの指摘もある。物価は上昇傾向にある。 またモディ氏は、若者へ数千万人分の雇用を創出するとの公約を掲げたが、達成にはほど遠い。2022年までに農家の所得を倍増させるとしていたBJPの公約が実現する兆しはない。 <社会政策> BJPは現金給付や水道敷設、電力供給の24時間化などで女性票の取り込みを図ってきた。 また新型コロナの感染拡大以降、政府は人口14億人の約6割に対して、無料の食糧配給を行っている。政府が配給の必要性を感じているという事実こそ、不均等な経済成長の表れだとの指摘もある。 世界不平等研究所によると、昨年末までにインドの富裕層は国富の40%を所有していた。 <宗教間の緊張> モディ首相が全土のヒンドゥー教寺院を定期的に訪れる様子は、ニュース番組で広く放送されている。モディ氏は、インド多数派の擁護者であるというイメージを強めていると専門家は指摘する。それは同時に、ヒンドゥー民族主義を掲げるBJPの中核も形成している。 BJPの政策は自分たちにとって良くないと、イスラム教徒の多くは感じている。 モディ政権は、イスラム教徒の学校への政府の支援を打ち切った。またイスラム教徒差別との批判も多い、市民権改正法を施行した。 <汚職対策> 資金洗浄を調査する政府機関によって、過去10年間で約150人の野党関係者が捜査対象になったり逮捕されている。同じ期間に与党の政治家が捜査を受けたのは、ほんの数人だ。 モディ政権は汚職に対する「寛容度ゼロ」政策を掲げている。だが野党は、モディ氏が政府機関を使って野党政治家を標的にしていると反発している。 投票は下院の543議席を巡って、4月19日から6月1日にかけて7回に分けて実施され、6月4日に開票される。