松山英樹（2024年7月撮影）

＜米国男子ゴルフツアー：ZOZOチャンピオンシップ＞◇第1日◇14日◇千葉・習志野CC（7079ヤード、パー70）◇賞金総額850万ドル（約12億7500万円）優勝153万ドル（約2億2950万円）◇曇り、24・7度、東北東の風6・2メートル◇観衆6778人 　ラストイヤーのテーマは「大逆転」に決まった。今季2勝で、パリ五輪銅メダルの松山英樹（32＝LEXUS）が、首位と8打差の53位と出遅れた。4バーディー、5ボギーの71。契約満了で今年が最後の今大会で、第1ラウンド（R）の1オーバーも53位も、全6度の出場でワーストとなった。今年は米男子ツアーでアジア人初の10勝に到達。日本男子では初めて五輪表彰台に立っての凱旋（がいせん）試合だったが出はなをくじかれ、第2R以降のバーディー量産を誓った。 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　言葉とは裏腹に、松山は逆襲を見据えて目をギラつかせていた。ホールアウト後、報道陣に対応し「残念です。怒りがわいてこないぐらい悪かった」と、自分を責めた。今大会の第1R終了時点で、1オーバーはワーストタイ、51位は従来よりも10位も低いワースト更新と、ともに22年を下回った。それでも「苦しいけど明日（第2R）、バーディーをたくさん取れるように頑張りたい」と力説。巻き返しへの気力は十分だ。 　インコースから出て、11番でボギーが先行する嫌な流れだった。直後の12番でバウンスバックも、再びボギー先行。後半3、4番の連続バーディーで初めてバーディーを先行させ「いいきっかけが見つかった感じはあったけど、ボギーを打ってしまい『流れは完全にないな』と思いながらプレーした」と、直後の5番のボギーがこたえた。さらにボギーを1つ重ね、オーバーパー発進に終わった。 　それでも随所に、今年初めて日本でプレーする凱旋（がいせん）試合を楽しみに、駆けつけたギャラリーを沸かせた。17番パー4はティーショットをミスし、300ヤード余り残したが、第2打がスーパーショット。そびえ立つ木の上をギリギリ越え、深いラフからグリーン手前に運んだ。力と技の融合に「ウォーッ」という、驚きを含んだ大歓声が起きた。第3打のアプローチも1メートル足らずに寄せて“ナイスパー”とし、直後の18番パー5のバーディーにつなげた。第2R以降の爆発を予感させる、ワールドクラスのショット健在をアピールした。 　大会前、ツアー公式ホームページに掲載された優勝予想で1位の松山、2位モリカワ、3位シャウフェレ（ともに米国）のメジャー覇者は、いずれもロケット発進とはならなかった。それだけに「3、4番のようなプレーができれば、明日（第2R）中に上位に近づくことはできると思う」と語った。21年大会以来3年ぶりの日本での優勝を、誰よりも松山が信じて疑っていない。【高田文太】