詐欺電話7割超が国際電話、「+1」や「+44」番号には要注意…警察「まず出ないこと」
「トクリュウ」資金源か
「+1」や「+44」から始まる電話番号には要注意――。京都府内で今年1~11月、特殊詐欺に利用された電話番号のうち、国際電話番号が悪用されたケースが7割超に上ることが府警への取材でわかった。特殊詐欺は、SNSで離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」が主要な資金源としているとみられ、府警は国際電話の利用休止手続きなどの対策を周知している。(下林瑛典、東大貴) 【写真】「成瀬は天下を取りにいく」の作者、歳末特別警戒本部長に任命
■アプリを悪用
特殊詐欺では従来、「03」などの固定電話番号や、インターネット回線を使うIP電話からの発信を示す「050」番号が目立ち、警察庁は2019年以降、特殊詐欺に使われた固定番号を利用停止にする措置を講じてきた。
だが、海外事業者との連携が難しい国際電話番号は停止の対象に含まれず、昨年7月から国際電話番号による特殊詐欺が全国的に急増。府内でも今年に入り、11月までに特殊詐欺で利用された1207件の電話番号のうち73%にあたる882件で国際電話が使われていたという。
国際電話番号は、世界各国に割り当てられた国番号から始まり、海外から着信があるとスマートフォンでは「+1」(米国・カナダ)「+44」(英国)などと表示される。固定電話では「+」がない場合もある。
一方、現在は国際電話番号を取得して通話できるアプリがあることから、国番号にかかわらず、特殊詐欺グループ側がアプリを悪用して国内や拠点を置く他国から架電している可能性があるとされる。府警特殊詐欺対策室の担当者は「特殊詐欺に利用される電話で、国際番号はもはや主流と言っていい」と指摘する。
■利用休止を
被害を防ぐため府警が推奨しているのが、国際電話の利用休止だ。固定電話はKDDIとソフトバンク、NTTが共同運営する国際電話不取扱受付センター(0120・210・364)に申し込めば、海外からの着信を止められる。
北署も、身に覚えのない国際電話への注意を呼びかけるポスター1500枚を作製し、北区の商店や金融機関に配布している。ポスターには「+から始まる番号は特殊詐欺かもしれません」「電話に出ない、または一度電話を切って警察に通報してください」などと記している。
府警犯罪抑止対策室は「被害を防ぐため、まずは国際電話に出ないことが重要。国際電話を利用するため休止できない人も、登録している番号以外に出ないといった対策のほか、ディスプレー上で番号を確認するなど警戒してもらいたい」と呼びかけている。