【特集】シナリオライターが遊ぶ『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』―今再び、先帝の無念を晴らす! SFCの名作RPGを遊ぶ
本作はフリーシナリオというシステムを名乗っており、どこへ行くのも自由です。文官のアドバイス通りに近隣諸国の問題を片付けるのも良し、すべてのイベントを無視していきなり東方の国に行くのも良しです(モンスターを避けまくるアクションゲームが始まりますが)。
前作『ロマンシング サ・ガ』から続くこのフリーシナリオという設計を成り立たせるためにゲームのシステム側で用意されているのが「敵勢力レベル」という概念。戦闘回数やイベントクリアなどのいくつかのトリガーによって、フィールドでエンカウントする敵が強くなるため、いつでも歯応えのある戦いが味わえるというわけです。
このフリーシナリオの骨子となるのが「七英雄」と「年代ジャンプ」です。
七英雄はボスモンスターに当たり、とんでもないパワーで主人公たちに襲い掛かりますが、まずは彼らを探さなければなりません。彼らは彼らなりの理屈で世界を巡っており、タイミングによっては同じ場所にいないこともあります。
どうして彼らは世界を敵に回したのか? という大きな謎が『ロマサガ2』のシナリオの最重要ポイントなわけですが、今回のリメイクにあたり、その点が大きく加筆・修正されることとなりました。
原作にあった古代人との確執という点はやや抑えられ、タームというアリの魔物たちがよりいっそう凶悪なものとして描かれることとなったわけですが、この点は2018年に行われた演劇「SaGa THE STAGE ~七英雄の帰還~」を下地にしているように思いました。
この「主人公よりもボス側の物語に焦点が当たる」という点は非常に面白い試みで、31年経った今でもなかなか珍しいパターンなのではないかと思います。とはいえ、それはパーソナルな物語という意味合いであり、皇帝たちの物語が描かれないわけではありません。「年代ジャンプ」の件ですね。
パーティが全滅するか、一定以上のイベントをクリアすると、時が経ち、プレイヤーは次代の皇帝を選ぶこととなります。そして代替わりを何度も繰り返し、ようやく七英雄を倒すと、皇帝=プレイヤーが歩んだ道のりは「歴史」という形でまとめられ、吟遊詩人の詩に回収されるのです。