大谷翔平選手の亜脱臼で蘇った苦い思い出【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第138回
ケガは選手生命を縮める大きな要因です。ただ、メジャーリーグは選手の安全を第一に、ケガ防止に努めてきました。 有名なところでは、2014年に採用された(日本のプロ野球は2016年に採用)コリジョンルール。本塁での衝突を防止するための規則ですが、昔のプレー映像を見ると、明らかに走者が捕手にわざと当たりにいった場面もありますよね。今見ると「危ないな」と思います。ルールを改正するのは、アスリートは体が資本であることを理解しているからです。 日本のプロ野球では、かつて「鉄人」と呼ばれた選手がいました。連続試合出場世界記録を残した元広島の衣笠祥雄さんや、死球で左手首を骨折した数日後にホームランを打った金本知憲さんなどですね。 最近では医療技術も向上したので、ケガから復帰するまでの期間が短くなりました。たとえば、かつてトミー・ジョン手術は一世一代の大手術でしたが、現在では大学生でも受けるくらいの手術になっています。 それでもやはり、アスリートにとってのケガは失職につながる大きなものです。私たちには理解しづらい感覚もしれません。 近年では、昨年からメジャー導入されたピッチクロックが議論になっています。投手のヒジのケガが多く、それは投球間隔が短くなったのが原因のひとつかもしれない、と言われているのです。これは今後も協議されることでしょう。 あらためてドジャースの世界一をお祝いすると共に、この先もすべての選手がケガなく、最高のパフォーマンスを見せられることを願って、今日は筆をおきたいと思います。 構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作