【江戸ことば その2】現代語に残る驚きの語源! ベイブレード・ベーゴマの「べー」とは?
■罵倒語「カス!」の由来 神戸:では、これはどうでしょう。悪い言葉ですが、「このカス!」とかあるでしょ。この「カス」って何でしょう? 下田:カス……「加える」? 神戸:ちょっと違うな、粕漬けの「粕」ってあるでしょ。酒の粕ね。「糟っ食らい」という言葉が江戸時代にはありました。下等の酒を飲む酔っぱらいを嘲って、「糟っ食らい」って言っていたんです。そこからですね。例えば男を罵倒する時、「カス野郎!」 下田:それは酒粕のカスから! 神戸:そう!「安酒を飲んでいる馬鹿野郎」っていう感じ。 下田:ははは! 神戸:それから、神主さんは禰宜(ネギ)ですけど、「糟禰宜!」。安酒(糟)を飲むから「糟っ食らい」。そこから「糟野郎」とか。今はあまり使う使っちゃいけない言葉ですど、実は安酒の粕。 下田:そうなのねー。 ■「ベイブレード」に生きる江戸語 神戸:じゃ、超意外な奴、これはどうでしょう。ベイブレードの「ベイ」。 下田:え?ベイブレード? 神戸:ベイブレードってわかります、子供が遊ぶ……。 下田:ベーゴマみたいな? 神戸:そうそう、現代風のベーゴマですよね。アニメや映画にもなっているけども、その語源はもちろんベーゴマです。では、ベーゴマの「ベー」とはなんですか。 下田:…「米」じゃないんですか? 神戸:あ、それは全然違うな。「バイ」と呼ぶ貝があったんです。 下田:ああ、バイ貝。 神戸:バイ貝は巻貝じゃないですか。貝殻に鉛を詰め込んで、貝独楽(ばいごま)を回していたんです。「貝独楽」は江戸弁で「ベーゴマ」になっちゃうんですよ。 下田:すごーい! 神戸:「貝独楽」と書いて「ばいごま」と読んでいた。僕も子供の時にベーゴマをしていました。貝はなくて鉛だけでしたけど、江戸時代は型としてバイ貝に鉛を入れて、それで遊んでいた。それがベーゴマになっているわけですね。それがベイブレードにまだ生きている。 下田:すごい! 神戸:すごいでしょ。ベーゴマで遊ぶことを「バイ廻し」って言うんだと、解説で書いてあって知る。 下田:名前は「与えられたもの」として普通に使用していますけど、「この名前は何だろう?」って興味を持つことで、歴史とか源に触れることができますね。