日本が内向きに転じる恐れ、与党過半数割れで政策停滞リスクに直面
ただ、日米関係に大きな変化が起こる可能性は低い。日本の主流派政党は全て日米同盟を支持している。一部の政党は石破氏のように、協定を一部見直し、同盟関係を両国にとって公平なものにすることを望んでいる。
エマニュエル駐日米大使は、「今回の総選挙は日米同盟に関する国民投票ではない。同盟は選挙前と同様に今も強固で確固としたものだ」と指摘。「実際、日米の協力関係深化がインド太平洋地域およびその他地域の安全保障と集団的抑止力にとって極めて重要であるということは、日本の政治のコンセンサスであることは明らかだ」と述べた。
疑問点の一つは、日本が第二次世界大戦以降で最大規模の防衛費増額をどのように捻出するのかということだ。岸田氏は22年に防衛費を5年間で60%増やすと表明したが、これにより日本の防衛費は世界でも有数の規模となる。
石破氏は防衛増税の開始時期について、年末の税制改正議論で決着させる必要があるとの認識を示しているが、少数与党の弱体化した政権を維持するにはその目標を犠牲にせざるを得ないかもしれない。
笹川平和財団安全保障研究グループ特任グループ長の山本勝也氏は、次期政権の枠組みはまだ分からないが、「防衛増税にゴーを出すのは非常に難しい」と指摘。「こういう政治的な不安定さが出てくると、どうしても外から見たときにリーダーが弱くなってしまったという印象は与えてしまうので、そこは懸念している」と述べた。
原題:Japan Risks Turning Inward Just as World Braces for Trump Return(抜粋)
--取材協力:横山恵利香.
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Alastair Gale, Yoshiaki Nohara