日本が内向きに転じる恐れ、与党過半数割れで政策停滞リスクに直面
日本銀行にとっても、国民民主などの要求を受け入れて厳しい家計や中小企業への支援強化に石破氏が動けば、政策金利の引き上げを継続することがさらに難しくなる可能性がある。選挙結果に対して為替市場は円安で反応し、石破氏が安定政権を樹立できるかどうかの不確実性にもかかわらず株価は上昇した。
トランプ前大統領の任期とほぼ重なっていた安倍晋三元首相の時代と比較すると、来週の米大統領選で共和党候補がホワイトハウスを奪還した場合、日本の政権は不安定なため米国の要求に応えることは難しいだろう。
トランプ氏は、すべての国からの輸入品に10%の関税を課すことや、日本製鉄による米USスチール買収を阻止すると公言しているが、それ以外にも在日米軍駐留経費の負担増を日本に要求し続けている。この経費負担に関する合意は26年に更新される予定だ。
米ブルッキングス研究所のミレヤ・ソリース上級研究員は、「連立政権や少数与党では防衛費負担に関する協議を行うだけの政治力がないかもしれない」と指摘。「そうした交渉はより困難になる可能性がある」と語った。
1990年代から2000年代初頭にかけて、日本は首相が次々と代わる「回転ドア」として知られていた。しかし、12年から20年にかけての安倍氏の2度目の首相在任期間で、より安定した政府と国際舞台での自信に満ちた存在へ転換し、その流れは岸田文雄前首相によってさらに拡大した。
安定した政治の下、特に安倍氏はトランプ氏と個人的な関係を深め、両首脳の会談は数十回に及んだ。トランプ氏は貿易で日本に圧力をかけ続けると公言しているが、選挙遊説では現在も22年に銃撃された安倍氏との友情にたびたび触れている。
ジャパン・フォーサイトの創設者、トビアス・ハリス氏は顧客向けのメモで、「石破氏や後継首相が、例えば次期米大統領、あるいは中国や韓国の政府と個人的な信頼関係に基づく外交に真剣にかかわることを期待するのは難しいかもしれない」との見方を示した。