日本の金融株や割安な中国株が有望-新たな米金利見通し下で選別進む
(ブルームバーグ): 米国の金利が高止まりする環境は、割安な中国株の有望性を高め、アジアにおけるバリュー投資戦略の推進力となっている。
JPモルガン・アセット・マネジメントとアリアンツGIによれば、日本と韓国の企業改革がバリュー戦略の焦点だ。一方、M&Gインベストメント・マネジメントは、中国株の過去最低水準に近いバリュエーションに魅力を感じている。そのほか、輸出企業やインドの国内向け事業を展開する企業も良い逃避先だ。
米連邦準備制度の金融緩和がアジア全体の株式相場を押し上げるとの期待に胸を膨らませて年初を迎えたマルチアセット運用会社は現在、環境が大きく変化する中で選別を強めている。アジア地域の中央銀行が自国通貨を守るためにタカ派的方向へかじを切ったことで、伝統的な安全資産である債券の魅力が失われ、リターンへの期待は株式にかかっている。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ゲイリー・タン氏は「米金利高止まりはアジアへの資金流入に逆風だ」と指摘。このような環境下では「一部の国内に焦点を当てたセクターが安全な隠れ家となる可能性がある」として、インドのインフラ関連株、韓国の改革の恩恵を受ける銘柄、中国の国内消費財や公益事業などを挙げた。
市場は現在、11月の米利下げ開始を織り込んでおり、2024年に6回もの緩和を見込んでいた以前の予想からはかけ離れている。ブルームバーグがまとめたデータによると、海外ファンドは4月に入ってから中国を除くアジア新興国の株式を70億ドル(約1兆1000億円)以上売却しており、半年ぶりの資金流出となる勢いだ。
通貨と債券の見通しはさらに暗い。米国の高金利が続くということは、米国債が他の国の債券よりも魅力的であり続けることを意味する。ブルームバーグのアジア新興国の現地通貨建て国債の指標は、今年に入ってドルベースで1.7%下落している。