【凱旋門賞】松島オーナー「お金で夢は叶わないけど夢を買うことはできる」/インタビュー中編
世界最高峰レース、凱旋門賞(G1、芝2400メートル)は10月6日、仏パリロンシャンで行われる。キーファーズ松島正昭代表(66)は武豊騎手(55)へ、直近4年間の凱旋門賞で3頭目となる騎乗馬を用意した。今回のアルリファー(牡4、J・オブライエン)はクールモアとの共同所有。世界最大の競走馬事業グループに直談判で掛け合い、信頼関係を築き上げた。松島オーナーの思いとは…。ロングインタビューを前編、中編、後編の3回に分けてお届けします。 【一覧】武豊騎手の凱旋門賞成績 ◇ ◇ ◇ 【松島正昭オーナーと一問一答=中編】 -凱旋門賞のレースの雰囲気は 日本はお祭りという感じですよね。向こうは何と言うか儀式ですね。伝統もあってすごいですよね。 -ジョセフ・オブライエン調教師との面識は ないですね。(父の)エイダンとは友達ですし(笑い)武君はよく知ってるらしいですけど。去年の10月にアイルランドのバリードイル(私設調教場)へ行ってたら、エイダンが小さい小屋でコーヒーを入れてくれました。その時に「この馬を買え」と勧められましたけど(笑い)。バリードイルには去年初めて行きました。 -海外で馬を買うきっかけは 幹夫さん(松永幹師)と武ちゃんと「ジェニアルを持って行こうか」という話をして「いや、お金かかりますよ」と言われたんですが「まあ、面白いから1回行こう」と行ったら(仏G3メシドール賞を)勝ったんですよね。その時にクールモアとは違うエージェントが「ドイツで連勝してリステッドを勝った馬がいるからどうだ?」「これでディアヌ賞行かないか?」と。それで(アマレナを買って)ディアヌ賞へ行って、それが初めて。でも惨敗して、なかなか難しいなと話しているうちに、そのエージェントから別の馬を勧められて「契約しよう」となって話が決まった時にけがをして…。その代わりにブルームを買うことになりました。 -そのブルームで19年に凱旋門賞に出走するプランだったが、体調が整わずかなわなかった。 (同日にG1に出走した)サヴァランとヘルタースケルターの3頭出しになるはずでした。でもブルームが出られなくなって、武君は凱旋門賞でソフトライトに乗って、ヴァルトガイストが勝って(1~4着が)エネイブル、ソットサス、ジャパンでした。ジャパンは前から知ってましたが「ええやん」と思って、次のレースのパドックで「ジャパンを売ってほしい」と言いに行きました。それで「絶対来年こそは」と思っていたら(翌20年は)ソットサスが勝って…。 -「お金で夢はかなわないけど、夢を買うことはできる」という言葉が印象的 競馬に限らず何でもそうやと思いますね。お金を出せば、やりたいことに対する道筋はつきます。できるかできないかは別ですが。そこからは、その人の持っているものとか、努力とかですよね。仕事もそうですもんね。「こうなる」「こうなりたい」というのが大事。仕事なんか10回やったら9回が失敗ですから。あかんかってもやり続けないと。 (後編へつづく)