能登地域の暮らしがずっと続くために何が必要か…被災地の高校生に伝えたい思い
石川テレビ
子どもたちの生活を大きく一変させた能登半島地震。 被災地の高校生に、能登の未来を考えてもらうための講演会が開かれました。 専門家が伝えたかった思いとは。 七尾市にある田鶴浜高校。 県内で唯一、医療や福祉系の学科があり看護師や介護福祉士を目指す高校生が通っています。 そんな田鶴浜高校を訪れたのが金沢大学の青木賢人(あおき たつと)准教授です。 青木先生: 「田鶴浜の子たちは人を支える仕事に就く子たちがたくさんいる学校でもありますのでこれから能登で支えなきゃいけない人たちってどんな人たちだろうか。それに向かって自分たちが何ができるんだろうかっていうことを考える機会を設けられればいいと思っています」 青木さんの専門は地形の隆起や地質などを研究する地理学。 地震とも密接に関わるため防災についても研究しています。 「お久しぶり!」 田鶴浜高校の平瀬諒太(ひらせりょうた)先生は青木さんの教え子。 どうして青木さんに講演を頼んだかと言うと… 田鶴浜高校 平瀬諒太先生: 「田鶴浜高校特有の看護と福祉を学ぶ生徒にこういう災害があった時にどうしてほしいかだとかを話していただけたらなと思います」 能登半島地震でこれまでの生活が大なり小なり一変した高校生たちです。 青木さんはこう切り出しました。 青木先生: 「環境っていうのは人にとってダメージを与えるという側面と人の暮らしを支えるっていう両面性がある。そうしたことが起こって出来上がった土地があるからこそ能登らしい暮らしっていうのができ上がった」 能登半島地震で青木さんも驚いた最大4メートルもの海底の隆起。 歴史的にはこうした地震で能登半島が形作られたといいます。 例えば輪島市の観光名所の一つ、白米千枚田。 急な斜面が地滑りで崩れ、田植えができる場所が生まれました。 世界農業遺産の一つに認定された能登半島の営みや景色は自然の力によるものです。 青木先生: 「将来、彼、彼女たちが能登を支えていく子どもたちになっていくはずですので、能登を嫌いになってほしくないんです。能登の自然を嫌いになってほしくなくて能登の自然というのをもう一回考えてみようと」 そして、未来を担う高校生に青木さんはこう語りかけました。 青木先生: 「奥能登地域っていうのは日本の最先端を行く高齢化地域なんですね。今、日本で能登でしか感じることのできない将来の日本にとって絶対に必要になるような知識や経験っていうのを皆さんは得ている最中になります」 高齢化率は5割を超える奥能登。 いま起きている能登の問題は、今後、日本各地が直面する課題です。 青木先生: 「みんなのアイデアをぜひもらいたい。能登の地域の暮らしがずっと続いていくためには高齢者の人たちがたくさん能登に戻ってきて高齢者の人たちが安心安全に暮らし続ける能登っていうのを作らなきゃいけない。みんなに考えてみてもらいたいと思います」 2時間にわたった講演。高校生は思いついたアイデアを青木さんの元に送りました。 青木先生: 「どこかで聞いたことのあるアイデアじゃなくて自分たちの中から出てきたアイデアが書かれているのがすごくよかったと思います。みんなが真剣に能登のことを考えてくれているな、あるいは自分事として地震のことを考えてくれているなっていうのがよくわかってすごくうれしかったです」 生徒: 「実際に地震の被害にあってつらいこともあって、マイナスなことばっかり考えていたんですけど、マイナスなことをプラスにして今までの能登ができたから今回の地震もマイナスだったけどこれからの能登を作っていくためのプラスなことだと考えるきっかけになる講演会になりました」 「「地震怖いな」とか思うんですけど具体的にこうした方がいいっていうのは考えたことがなくていい機会になったなと思います。(能登は)看護師さんが減ってきている現状があるので(将来は)能登で少しでも力になれたらなって思っています」 高校生にとって能登の未来をじっくり考える一日となったようです。
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