「全裸ポスター」「掲示板ジャック」 無法地帯の都知事選“悪用する者”が多発する必然
6月21日に行われたNHK党・立花孝志党首の記者会見によると、その時点での寄付金の総額は1000万円に満たず、候補者24人分の供託金7200万円にはまったく届いてはいない。 しかし、もし都内1万4000カ所すべてのポスター枠が“売却”できれば、売上総額は単純計算で3億5000万円となる。それだけで候補者の供託金を賄えてしまうどころか、大幅な黒字になる。 それに加えて、メディアやSNSで取り上げられることも含めた「露出効果」もある。選挙以外のところで同じことやっても「変なことをやっている人がいる」くらいにしか思われなくても、選挙運動として行えば大きな注目を集めることができる。
実際、NHK党の寄付枠を活用して、キックボクサーのぱんちゃん璃奈氏が大規模なポスタージャックをしたほか、出会い系サイトのような広告や風俗店のポスターが掲出された。 ただし、まともな感覚を持っている人であれば、批判を浴びることによる“逆効果”も想定してこうした行為は控えるはずだ。 かくして、“まともではない”人たちが群がってくるという結果になってしまっている。 ■選挙活動“悪用”の弊害 現在の公職選挙法の枠内では、このたび起きた諸問題を禁じることは難しいという。たとえば、供託金を値上げするという方法も考えられるが、そうすると「お金がない人は立候補できない」という弊害を招いてしまう。
しかしながら、この状況が繰り返されることは、下記のようなさまざまな弊害をもたらす。 1:選挙活動の濫用 2:税金の不適切な活用 3:選挙や政治に対する不信の拡大 選挙には多額の税金が投入される。にもかかわらず、選挙で当選することを目的としない私的な活動や、偏向した思考を広げるために選挙活動を利用するのは、どこから見ても不当な行為である。 それだけにとどまらず、泡沫候補が乱立して選挙活動からずれた行動を行ったり、関係のない第三者が宣伝活動を行ったりすると、選挙に対する信頼性が揺らぎ、有権者の関心も削いでしまうことになりかねない。それは、長期的には政治への不信へと繋がっていくだろう。