「このままでは日本人は野菜を食べられなくなる…」異常気象でイチゴもクリスマスケーキも高騰、《野菜の奪い合い》が激化し未曾有の「野菜ショック」へ
年の瀬、物価高騰の波がクリスマスケーキにも押し寄せている。要因となっているのは、やはり原材料費だ。 【マンガ】外国人が「うまい」と評したラーメン、日本人には「衝撃」だった… ケーキに欠かせない鶏卵やバターなどに加えて、「主役」とも言えるイチゴが大きく値上がりしている。クリスマスを目前にした12月20日時点の卸売価格は、平年と比べて20%以上高い値段で推移しており、なかには1パック2000円を超えるものも。洋菓子店やメーカーはイチゴの飾り付けを控えめにしたり、代用品としてイチゴクリームを使用したりと、対応に追われている。 だが、高騰しているのはイチゴだけではない。トマトにキャベツ、ピーマン……今冬は野菜の急激な値上がりが目立つ。 前編記事『イチゴ1パック2000円…?クリスマスケーキに《値上げの波》青果業者は「それでも安すぎる」と苦悩…日本を襲う野菜危機、その「最大の原因」』に続いて、その原因を解説する。
「中間流通はムダ」は本当か
消費者の立場からは「そもそも青果物の場合、中間流通の業者を通すせいで値段が下がらないのでは」という意見もあるだろう。 最近ではECの産直サイトなども浸透してきているが、国産青果物の約8割は卸売市場を経由して流通している。卸売市場には各地の農協などから出荷された野菜や果実が集められ、それを卸売業者が仲卸業者へと販売する。そして、仲卸業者が小売業者へ販売することで、スーパーなどの店頭にキャベツやトマトなどが並ぶ仕組みになっている。 こうした卸売市場を通さなければ、もっと安く買えるようになるのではと思われるかもしれない。 だが、物事はそう簡単ではない。たとえば、あるスーパーがAという産地から、野菜を直接大量に仕入れる契約をしたとする。そうすれば、たしかに卸売市場業者への手数料は省ける。 しかし、ある時、産地Aが異常気象に襲われて、野菜の収穫がまったくできなくなったとしよう。スーパー側は代わりに野菜を出荷してくれる産地を探すわけだが、大量の野菜を運ぶ物流網などはそう簡単にすぐ整えられるものではない。特定の産地に依存するのはリスクが大きく、商品が全く手に入らない状態に陥ることもあり得るのだ。 こうした時に、日本中のさまざまな産地から品物が集まる卸売市場があれば、仮に1つの産地から買えなくても、別産地のものを買って商品を揃えることができる。卸売市場は食料の安定供給にとって必要不可欠な存在なのだ。