「このままでは日本人は野菜を食べられなくなる…」異常気象でイチゴもクリスマスケーキも高騰、《野菜の奪い合い》が激化し未曾有の「野菜ショック」へ
卸売業者は本当に「搾取」しているのか?
そもそも、こうした卸売市場に関係する業者がどれくらいの手数料をとっているか、ご存じだろうか。農林水産省の調査によると、小売価格に占める取り分の割合は、卸売業者が5.2%、仲卸業者が11.5%となっている(いずれも青果物全体の平均)。 つまり、もしキャベツの店頭価格が298円だったとしても、そのうち各業者の取り分は卸売業者が14.9円、仲卸業者が34.27円となる。 一般的に「中間流通はマージンを搾取している」というイメージがあるかもしれないが、全国津々浦々で食料の安定供給を維持していると考えれば、卸売業者や仲卸業者の取り分の実態は決して「搾取」とは言えない。こうした業者にとっても、野菜や果実の価格を少しでも上げることは悲願と言える。
価格高騰を終わらせる方法
だが、生産者をはじめとする関係者にとっても、野菜や果物の価格があまりに高くなりすぎることには懸念の声がある。 関西のとある青果仲卸関係者はこう話す。 「仮にトマトが1玉1000円という世界になったとして、一体誰が買うというのか。このまま市場の仕組みにまかせて価格高騰が進んでしまえば、日本人は野菜を食べられなくなってしまう」 安すぎても、高すぎてもダメ。では一体どこに活路を見出せば良いのだろうか。先の関係者は次のように提言する。 「たとえば、消費者がもう少し欠品に寛容になってくれれば、価格も落ち着くのではないか。今は小売各社が欠品を防ごうと、とにかく商品をかき集めていて、その結果として相場がどんどん釣り上がっている。 これまでは野菜から果物まで、店頭になんでも揃っているのが当たり前だったが、その意識を改める時期に来ている。『ないものはない』と消費者が受け入れて、その時にある野菜を買ってくれれば、相場が釣り上がることもないはずだ」 先の読めない野菜や果実の価格高騰が続くが、解決策の一つとなるのは、われわれ消費者自身が考え方を変えることにあるのかもしれない。 ………… 【もっと読む】米が高すぎる!台湾やベトナムから輸入米も続々…「もう国産は食べられない?」日本人を襲う「新米ショック」
市村 敏伸(農と食のライター)