日本を代表するギタリスト・村治佳織さんが“ライフワーク”と語る作品とは?【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
ロドリーゴ『アランフェス協奏曲』 人気ギタリストのライフワーク
今日4月14日は、日本を代表するギタリスト村治佳織(1978~)の誕生日です。 彼女のすばらしさは、一般の音楽ファンに愛されつつ、クラシックのコア層からも実力を認められていることでしょう。その村治佳織の“ライフワーク”と語る作品が、スペインの作曲家ロドリーゴ(1901~99)の『アランフェス協奏曲』です。 「私のCDを聴いてくださったことをきっかけに、最晩年(97歳)のロドリーゴに会えたことは一生の思い出です。ご高齢のため、ほとんど会話らしい会話もない面会でしたけれど、生身の巨匠にお会いできた経験は特別でした。しかも、お会いした日からわずか半年後にお亡くなりになっただけに、貴重な時間だったことが身に沁みます。『アランフェス協奏曲』は、自分の今の立ち位置や状態を知る“定点”といった大切な存在です」と語る村治佳織の言葉からは、作品への敬意と愛情が溢れ出るようです。 音楽とは、作曲家と演奏者の強い絆の上に成り立つ芸術であることを、改めて認識する一コマです。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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