似顔絵捜査員が誕生 捜査への活用進む 警視庁150年 106/150
被害者や目撃者の記憶に基づく情報から犯人の姿を絵にする「似顔絵捜査員」が平成12年に誕生した。警視庁では警部補以下の警察官らが似顔絵捜査員になることができる。写真の模写などの書類選考を経て講習後、正式に指定される。例年100人ほどが応募し、選考を通るのは12人と狭き門だ。発足当初の約30人から今年10月末時点で約370人にまで増えた。 【写真】似顔絵を描くために使われる鉛筆や練り消し 似顔絵捜査員は、聞き取りで顔の部位の形など数十個に及ぶ質問などをしながら、顔だけであれば1時間以内で色も塗って仕上げる。平成27年から似顔絵捜査員を務める鑑識課の女性巡査部長(36)は「『おとなしそうな人』といわれたら、きりっとした眉ではない形で一旦描き、違えば、修正しながら近づけていく」と語る。 他には、犯人の持ち物▽身元不明遺体▽指名手配犯の現在の姿▽さまざまな角度から撮られた防犯カメラ画像を組み合わせた犯人像-などを描くこともある。 現在は犯人像を3D画像で再現することも可能だが、「似顔絵の方があいまいなので、『あの人に似ている気がする』という情報が集まる。可能性を狭めないことが大切」(同巡査部長)という。捜査の過程で浮上した人物が似顔絵に似ていて逮捕に近づいたこともあったという。 言葉だけでは伝わりにくいイメージを、似顔絵によって可視化された共通の犯人像として共有できることから、捜査への活用が進んでいる。(前島沙紀、写真も)